近年注目を浴びている「サブスクリプション」というビジネスモデルをご存知ですか?
以前はU-NEXTなどのVODや、ファッションアイテムをレンタルできるサービスが多かったのですが、飲食店でもこのモデルを導入するところが増えています。
そこでこの記事では、「サブスクリプション」というビジネスモデルの特徴や、このモデルを導入している業種を紹介します。
サブスクリプションモデルとは?
サブスクリプションモデルは、利用者がモノを買い取る訳ではなくモノの利用権を借り、その期間に応じて設定された料金を支払う方式を指しています。
例えばAmazonプライムの場合、1年間で¥4,000ほどの料金となっています。これはAmazonプライムというサービスを1年間¥4,000で利用している訳ですね。
サービスを提供する側が定めている料金を支払えば、定められた期間中は何をしても追加料金がかからないというわけです(サービスによっては追加料金がかかる場合もあります)。
サブスクリプションモデルの特徴
その特徴は「定額の料金を払えばサービスをいくらでも利用できる」という点です。
消費者側のメリット
消費者側のメリットとしては、都度都度料金を払わなくても決められた額を払えば、一定期間は追加料金なしでサービスを受けることができる点です。
例えば動画配信サービスの場合には、Amazonプライムだったら月額¥300~400で映画やドラマが見放題。ブランドのバッグをシェアできるラクサスというところだと、月額¥6,800でFENDIやCELINE、GUCCI、バレンシアガやジミーチューなどのブランドバッグを借りることができます。
サービス提供側のメリット
定額にしておくことで、月々の収支の目処が立ちやすいので安定しやすいという点が挙げられます。
先ほどのバッグのレンタルの場合には、1人のお客様が年間を通して使ってくれたとしたら、1人に対しての売り上げは¥81,600。ハイブランドのバッグを買う場合には数十万円するケースもあり、バッグを売って買ってもらった方が売り上げは大きいかもしれません。
しかし、数十万もするバッグを毎年毎年買うとは思えません。そうなると¥0の年もあれば数十万の売り上げを出せる年もあります。ここに関しては消費者次第なので企業側がコントロールすることができず、ただ店頭やネットショップに置いておくだけでは買われない場合もあります。
一方で月額で借りられるようにしておけば、高価なバッグを買うお金がない人でも「月額¥6,800なら払える」ということでサービスに登録してくれます。そうしたら、その月の売り上げは¥6,800になりますし、そのあとも企業側がお客様を満足させることができれば継続してサービスを利用してくれるようになります。
サブスクリプションモデルの事例
動画配信サービス
動画配信サービス(以下、VOD)では、多くのサービスがサブスクリプションモデルを採用しています。有名なVODは、
- Amazonプライム
- Hulu
- Netflix
- ビデオマーケット
- VOD
- dTV
- U-NEXT
などなど。サービスによって細かい使い方は異なりますが、月額料金を支払うことで動画を楽しむことができます。詳しい内容は「あなたに合うVODも見つかる!9つのサービスを比較してみた」をご覧ください。
VODの場合には、レンタルショップに借りに行く必要がない点が非常に大きいです。また、1ヶ月の間にたくさんの動画や映画を見る人ほどお得です。
ファッショングッズレンタル
ファッショングッズをレンタルできる、
- ラクサス(バッグ)
- レンカ(シューズ)
- airCloset(服)
などがあります。料金は月額で決められていたりレンタル泊数によって設定されています。
ファッションアイテムをレンタルできるサービスは、なかなか買うことができない高価なハイブランドのモノも安価でレンタルできるのが特徴です。
サービス提供側にとっても、ファッショングッズは結婚式やデートの時に利用されることが多いモノを集めておくだけでも十分に需要があります。誰もが身に付けるものなので、需要はもちろんあります。
素材販売サイト
写真の素材や、イラストの素材を買うことができるサイト/サービスもサブスクリプションモデルを採用しているケースが多いです。例えば
- Adobe
- Amana Images
- Getty Images
などがあります。一定料金を払うことで「1ヶ月で◯点まで利用可」とする場合が多く、個人向け・法人向けで分かれているのも特徴の1つです。
自動車リース
自動車のリースまでもが、サブスクリプションモデルで月額定額を払えば新車も借りられるようになっています。
例えばカルモというサービスの場合は、ホンダN-BOXが¥20,412~/月、スズキミライースが¥13,716~/月、スズキハスラーが¥18,900~/月で借りられます。カルモの場合はネットで申し込みができて、家まで納車をしてくれるのがとても便利です。
レンタカーを借りるよりも長く借りたい。カーシェアなどで使うときが限られてしまうよりも、自分の使いたい時に自由に使いたい。新車は買いたくない。そんな場合には車のサブスクリプションもありかもしれませんね。
飲食店のサブスクリプションモデル
飲食店が導入しているサブスクリプションモデルについて紹介していきます。
Reduce Go
まずは、2018年4月5日からサービス提供を開始した「Reduce Go」。これは、周辺の飲食店やお店で余ってしまった食品を「月額¥1,980で2品/日」食べられるというもの。
飲食店やパンなどを提供するお店では、料理を提供しても残されてしまったり、作りすぎて購入してもらえずに廃棄処分されてしまう食品がとても多くなっています。
それらの食品廃棄を減らすことを大きな目的としているのがReduce Goです。
サービスは東京23区のみとなっています。
coffee mafia
東京都新宿と飯田橋に店舗を構えるcoffee mafiaという店舗は、月額¥3,000と月額¥6,500の2つのコースを用意しています。
会員証を店頭で提示すると、1杯¥300のコーヒーを来店1回につき1杯無料で飲むことができます。月額¥6,500のコースの場合は全てのソフトドリンクを無料で提供してもらうことができます。夜になると、1杯¥400するビール・ハイボールを1杯¥280で楽しむことができるものです。
カフェ利用の多い人にはとても便利ですね。これはあくまでも「来店1回につき1杯無料」なので、1日に何回も利用する場合にはその回数分飲むことができるのはお得ですね。
Free Lunch
月額定額制でランチを食べることができるのがFree Lunchです。3月9日に福岡県北九州市若松区のNAKAGAWAspoilでスタートをしたのですが、3月24日には東京西荻窪でもサービスを開始すると公式ホームページにはリリースされています。
その料金は¥500。毎月¥500を支払えばランチを何回でも食べることが可能です。会員登録費として初月に¥500+¥1,000かかってきますが、とても安いですよね。
まだまだ浸透していないのでなんとも言えませんが、今後流行ってくる可能性は高いです。
GUBIT
まだサービスはスタートしていないものの、首都圏では間も無くサービスが始まるのがこのGubit。月額¥980で毎日1杯お酒を飲むことができるのです。
しかも、事前登録キャンペーンに登録すると、サービス提供開始後、利用登録をしてから3ヶ月間は利用料金が月額¥100となっているので、めちゃくちゃお得です。
友達と一緒に行った場合でも、招待機能を利用して無料の乾杯クーポンを送ることで、一緒に無料でお酒を飲むことができます。
詳しい内容は公式ホームページをご覧ください。
吉野家
大手の吉野家も期間限定で、「定期券」を販売しています。
¥300で定期券を買うことができて、定期券を1枚持っているだけで会計時の料金が1食あたり¥80引き、テイクアウトの場合は3食まで¥80引き、「はなまるうどん」ではうどん1杯ごとに天ぷら1枚無料、というサービスです。
丼もの、定食、皿、カレー全てが対象で、期間は2018年4月1日~5月7日です。
サブスクリプションモデルを導入しているアプリ
サブスクリプションモデルは、スマートフォンのアプリだけで完結できたり、アプリから申し込みができるサービスもいくつかあります。
- spotify
- Reduce Go
- Amazonプライム
- Netflix
- Hulu
- ビデオマーケット
- U-NEXT
- Play Station Plus
- Tinder
- タップル
- Evernote
- Slack
- クラシル
などがあります。もっともっとたくさんあるので、これはほんの一部です。
サブスクリプションモデルに適しているアプリの特徴
このモデルに適しているアプリの特徴としては、
- ユーザーが継続的に利用するコンテンツで、コンテンツのコアの部分となる機能のアップデートが定期的に発生する場合。
- 他のアプリでは視聴できない番組やスポーツ番組など、専門のコンテンツを提供する場合。
- 膨大なコンテンツ量を抱え、定期的にコンテンツが更新される場合。
サブスクリプションモデルのアプリを導入するにあたって
このモデルのアプリを導入するにあたって注意してほしいポイントがあります。
- カスタマーサポートの充実:月額定額の場合、提供側からお客様に価値を提供し続けないとお客様は離れていきます。また、サブスクリプションモデルに慣れていないお客様の場合には先に料金を払ってからサービスを利用することに対しては何かと不安になります。ここは誠実に丁寧なカスタマーサポートを行いましょう。
- 定期的にサービスの改善、コンテンツの拡充:定期的にサービスを改善していきましょう。カスタマーサポートを充実させていれば何かしらの要望が届くこともあるでしょう。その内容を反映させるだけでもサービスの改善・向上に繋がります。
- 無料期間を準備:初めての登録の人には無料期間を準備しましょう。無料期間中にお客様自身が「これはお金を払ってでも今後も使い続けたい」と思うか、「お金を払い続ける価値はないな」と判断してくれます。最初から利益のことばかり考えて登録した瞬間から課金しなければならないサービスの場合には、サービスは伸びていかないでしょう。
- メリットをあるだけ説明する:思いつく限りのメリットをわかりやすく明確にお客様に伝えましょう。他にもあるサブスクリプションモデルのアプリの中でも自社のものを選ぶ理由・メリットは何か、金額が高いゆえの付加価値はどんなものか、を全て説明しましょう。
サブスクリプションモデル関連の本
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サブスクリプション・マーケティング モノが売れない時代の顧客との関わり方
課金ポイントを変える 利益モデルの方程式
まとめ
今回は、サブスクリプションモデルについて触れてきました。最近一気にこのモデルを提供する企業やブランドが増えてきて、お得感を感じながらサービスを利用しているのではないでしょうか?
「この値段でこのサービスは安い!」と思わせたらそれはサービスの勝ちです。あなたも何かしらのサービスでそう感じているかもしれませんね。
もちろんこれで利益が出るキャッシュフローを考え出さなければなりませんが、導入を検討してみてはいかがでしょうか。