キーワード選定をする時、リライトをする時など、サイト運営をしている際に非常に役に立つのが、「検索順位ごとのクリック率」です。
当然ながら「1位のクリック率が1番高い」「順位は高ければ高いほどクリック率が高い」ことに間違いありませんが、実際のクリック率データを知っていることでキーワード選定やリライトをする時の基準が設けられるので、非常に役に立ちます。
今回は、2020年と2017年の2つのデータを用意しております。
実際にキーワード選定をするとき・リライトをする時には、どのように活用するのかについても紹介しておりますので、今後のサイト運営に役立てるためにも、ぜひ最後までご覧ください。
検索順位によって異なるクリック率を把握することがなぜ大切なのか
SEO対策を行う目的は、集客のため。そして、集客のためには当然多くの検索エンジンユーザーに、あなたのサイトのコンテンツをクリックしてもらわなければなりません。
SEO対策を行うにあたって、「上位をとる」ことが大事であることは言うまでもありませんが、掲載順位によってコンテンツがクリックされる確率は大きく変化します。
例え1ページ目(10位以内)に入っていたとしても、4回に1回の確率でクリックしてもらえる順位があれば、25回に1回の確率でしかクリックしてもらえない順位もあります。
ですので、重要だと位置付けているキーワードで上位を取れていたとしても、その順位が1位なのか10位なのかによって、見込める流入数も異なるというわけです。
今回は、2020年のデータと2017年のデータを紹介します。(なお、2つのデータを算出している会社は異なります。)
2020年版の検索順位ごとのクリック率
まずは、2020年にアメリカのSISTRIX社が出したデータから見ていきましょう。
このデータは、8000万以上のキーワードと数十億の検索結果を分析したものです。
順位 | クリック率 |
1位 | 28.5% |
2位 | 15.7% |
3位 | 11.0% |
4位 | 8.0% |
5位 | 7.2% |
6位 | 5.1% |
7位 | 4.0% |
8位 | 3.2% |
9位 | 2.8% |
10位 | 2.5% |
参考:https://www.sistrix.com/blog/why-almost-everything-you-knew-about-google-ctr-is-no-longer-valid/
特筆すべきは、やはり1位のクリック率です。28.5%ということは、実に3~4回のインプレッションがあれば、1回はクリックされているということになります。
2位になるとクリック率はガクッと下がりますが、1~3位までを獲得していれば、10回に1回以上の確率でクリックされていることがわかります。
2017年版の検索順位ごとのクリック率
続いて、2017年にInternet Marketing Ninjasが出したデータも見ていきましょう。
このデータは、3ヶ月間で6400万回以上のインプレッション、4万回以上のクリックがあった、2万件のクエリ(キーワード)を分析したものです。
順位 | クリック率 |
1位 | 21.12% |
2位 | 10.65% |
3位 | 7.57% |
4位 | 4.66% |
5位 | 3.42% |
6位 | 2.56% |
7位 | 2.69% |
8位 | 1.74% |
9位 | 1.74% |
10位 | 1.64% |
2017年のデータでも、1位は20%を超えて21.12%を記録しています。
ちなみに、2017年のデータでは11~20位までのデータも掲載されていますが、11~20位までは1.5%前後となっており、ほとんどクリックされていないということがわかります。
2つのデータから見えてくるユーザー行動の変化
この2つのデータは、会社や条件が異なるため一概に比較することはできませんが、クリック率にどのような違いがあるのかを簡単に表にまとめてみました。
指標 | 2020年のデータ | 2017年のデータ | 差 |
1位のクリック率 | 28.5% | 21.12% | 7.38% |
2位のクリック率 | 15.7% | 10.65% | 5.05% |
3位のクリック率 | 11.0% | 7.57% | 3.43% |
2017年と比べて2020年は、上位コンテンツのクリック率が高くなっていることがわかります。
このデータから、「1ページ目で悩みを解決できると思う人が多くなった」のではないかと推測します。
あるいは、「2ページ目に行っても解決できないから、とりあえず1ページ目のコンテンツをチェックする」という可能性も十分にあるでしょう。
過去に、2ページ目に行っても悩みが解決できなかった経験を数多くしていれば、「2ページ目に行っても、探しているものは出てこない」と検索エンジンユーザーが感じている可能性もあります。
そして、1ページ目のコンテンツで悩みが解決できなければ、新たなキーワードで検索したり別の媒体(SNSなど)を使ってみたりと、別の方法を取るのかもしれません。
実際に僕自身は、2ページ目に行っても悩みは解決できないと思っているので、1ページ目で悩みが解決できない場合には、キーワードを変えたりTwitterを使ったりしています。
Google側の度重なるアップデートにより、アルゴリズムの「検索エンジンユーザーの検索意図把握精度」が向上したり、世の中の情報量が増えたりしている点が、検索エンジンユーザーの行動にも影響を与えているのだと推測します。
キーワード選定時には推測される流入数を算出することもできる
ではここから、実際に「キーワード選定」と「リライト」とで、検索順位によって異なるクリック率のデータをどのように活用していけばいいのかを紹介します。
ではまずはじめにキーワード選定時に、どのように活用していけばいいのかを、例を出しながら学んでいきましょう。
ファッションサイトを運営している人が、キーワードとして以下3つをピックアップしたとします。
- 「冬服 レディース」
- 「冬服 通販」
- 「冬服 安い」
※月間検索ボリューム(検索回数)が多い順に上から並べています。
「冬服 レディース」で5位を獲得した場合の予想されるクリック数
例えば最も検索ボリュームの多い「冬服 レディース」というキーワードで5位の順位を獲得できたと想定し、先ほど紹介したSISTRIX社の発表したクリック率を元に、予想されるクリック数を出してみましょう。
キーワード | 検索ボリューム | 獲得順位 | クリック率 | クリック数(予想) |
冬服 レディース | 1,000回 | 5位 | 7.2% | 79回 |
「冬服 レディース」で5位を獲得すると、予想されるクリック数は79回となります。
そして「冬服 レディース」と検索する人は、女性にどんな冬服が合うのか、おすすめの女性用の冬服は何かを情報収集したい人たちだと予想できます。
「冬服 通販」「冬服 安い」でそれぞれ1位を獲得した場合の予想されるクリック数
キーワード | 検索ボリューム | 獲得順位 | クリック率 | クリック数(予想) |
冬服 通販 | 300回 | 1位 | 28.5% | 86回 |
冬服 安い | 100回 | 1位 | 28.5% | 28回 |
「冬服 通販」と「冬服 安い」のキーワードで、それぞれ1位を獲得できると、予想されるクリック数は合計で114回となります。
先ほど紹介した「冬服 レディース」というキーワードよりも、検索ボリュームは少ないものの、クリックされる回数は多いことがわかります。
さらに、「通販」や「安い」という言葉も使っているため、購買意欲は高く、サイトを経由して冬服を購入してくれるかもしれません。
必ずしも検索ボリュームが多いキーワードを選べば良い、というわけでもない
アクセスを集めるとなると、「検索ボリュームが多いキーワード=需要のあるキーワード」を選んだ方がいいようにも思えるかもしれません。
しかし、需要のあるキーワードはもちろん競合がたくさんいます。
そんな競合がたくさんいるキーワードで5位を獲得するよりも、競合がそれほど多くないキーワードで1位を獲得した方が、先ほど紹介したように結果的にアクセスを集められる場合があります。
また、先ほどのように「冬服 通販」や「冬服 安い」というキーワードの場合、検索している人の意図が明確になっているというのも注目すべき点です。
キーワード次第で、集められるお客さんの人数はもちろんですし、「購買意欲がある」などの意図が明確な人を集められるかどうかも変わってきます。
検索順位によって異なるクリック率を活用して、リライトに活かす
今回紹介した検索順位によって異なるクリック率は、記事のリライトに活かすこともできます。過去に書いた記事の検索順位やクリック率をあげたい時にリライトを行いますが、今回のデータが1つの指標になるのです。
どのようにしてデータを参考にすればいいのかを、ご紹介します。
リライト実施時の手順【前編】
- 検索順位によって異なるクリック率のデータを把握する(※最新版のSISTRIXのデータを参考にしましょう。)
- 自身の管理するGoogle Search Consoleを開き、キーワードごとのクリック率・平均掲載順位をチェックする。
- クリック率データと、実数値を見比べる。
まずはここまで進めましょう。そして、クリック率データと実数値を見比べてみた時に、実数値がクリック率データを上回っていれば手をつけず、下回っている場合にはリライトを行いましょう。
例えば、掲載順位1位(SISTRIXのデータ:28.5%)のコンテンツの、実数値が30%の場合にはリライトはせず、20%ならばリライトをする、と考えてください。
必ずしも「1位なら28.5%のクリック率になる」とは限りませんが、28.5%にまで上がるポテンシャルを秘めていると言えるでしょう。
リライト実施時の手順【後編】
- リライトすべきキーワードをピックアップする。
- ピックアップしたキーワードを「月間検索ボリューム」が多い順に並び替える。
- 優先順位の高いキーワードからリライトをしていく。
先ほど紹介した、クリック率のデータに基づいてリライトするかどうかを決めるとはいえ、全ての記事をリライトするのは効率的ではありません。
そして、サイト全体のアクセスのうち、80%ほどのアクセスは、サイト内にある記事の20%程度が賄っているというのが一般的です。(※俗に言う「パレートの法則」です。)
例えば、以下の条件だった場合、どのくらいの記事数でどのくらいのアクセス数を賄っているのかを算出してみます。
- アクセス数:100万PV
- 記事数:500記事
「パレートの法則」に当てはめると、100記事(全記事数の20%)が80万PV(全アクセスの80%)を集めているということになる。
こちらの数字はあくまでも例でしかないので、正確に「サイト全体の80%ほどのアクセスを、全記事の20%程度が賄う」とは限りませんが、往々にして当てはまります。
ですので、「月間検索ボリューム」が多いキーワードでより高い順位・より高いクリック率を叩き出すことができれば、当然ながらサイト全体のアクセス数も伸びてくるのです。
これらの点を踏まえて、リライトすべきキーワードをピックアップしたら、優先順位をつけて順番に「記事タイトル」のリライトを行っていきましょう。
まとめ
今回、2020年と2017年のクリック率に関するデータを紹介してきました。
そして、2つのデータを見比べてみた時に、2020年のデータでは1ページ目のクリック率が非常に高くなっていることがわかりました。
データに対しての推測は述べましたが、人それぞれに考え方は異なりますので、ぜひあなたも「こんな理由があって、1ページ目のクリック率が高くなったのではないか?」と予測をしながら、今後のサイト運営に役立ててみてください。
日頃から「検索エンジンユーザー」としての目線を持つことができているあなたならば、よりユーザー目線にたった上で「1ページ目のクリック率が高くなった理由」を推測できることと思います。
そして、後半に紹介した「リライト」については、今すぐにでも活用できる内容ですから、この記事を読み終わった瞬間からぜひ試してみてください。