個人事業主として仕事をして得た収入は全てが自分の好きに使えるというわけではありません。なぜなら、得た収入のうちの一部は税金として国に治める必要があるからです。
しかし、税金の種類はいくつも存在していて、なにがなんだか分からない!と嘆く人も多いでしょう。もしも申告漏れなどのせいで脱税だなんて言われたら怖いですよね。
出来るだけ自由に使えるお金を増やすためにも、今回解説している個人事業主が払うべき税金の種類をこの機会に理解するようにしましょう。
個人事業主はなぜ税金の種類を知っておく必要があるのか
個人事業主がなぜ税金の種類を知っておく必要があるかというと、税金の種類によって税率や納める方法が違うからです。「税金」と一言に言っても、6種類の税金があります。
次の章からはその税金の種類について説明を始めますが、個人事業主なりたての人や、過去に確定申告直前にバタバタした経験のある人は、ぜひこの記事で勉強・予習・復習をしてください。
個人事業主が支払うべき税金は6種類
まず初めに、個人事業主の人が意識しておくべき税金の種類を確認しておきましょう。
- 所得税
- 住民税
- 国民健康保険税
- 国民年金勢
- 個人事業主勢
- 消費税
個人事業主が払うべき税金は、上記の6種類になります。
これらの税金の金額は種類によってまちまちですが、大きくまとめると収入の多い人ほど収めるべき税金も多くなるということです。
各種税金の特徴に関しては、次の章から1つ1つ解説していきます。
所得税について
所得税とは、一年間の所得に対して課される税金です。所得税の申告義務は1年間に38万円以上の所得がある人に義務付けられています。
ここで言う所得とは、一年間の収入から諸経費を引いた金額のことを言います。つまり、収入から経費の分を引いた金額が所得ということになります。
例えば、年間で500万円の収入を得た個人事業主が、仕事の打ち合わせや必要な備品といった経費で100万円を使っていた場合、
500万円 – 100万円 = 400万円
所得は400万円となります。
よって、経費の額をしっかりと管理して申告することで、所得税の金額が低くなるため税金も少なくて済むという節税が期待できます。
ただし、経費に関しては領収書など証明になるものが必要になるため、月ごとに領収書をまとめておくなどの税務管理をこまめに行うようにしましょう。
所得税のまとめ
所得税については、
- 所得税は1年間に38万円以上の所得がある人に義務付けられている。
- 年間の収入から諸経費を引いた額が所得となる。
- 経費だと証明できる領収書を管理することで、節税に繋がる。
このようにまとめられます。
住民税について
住民税の中には2つの種類があります。
- 所得割
- 均等割
この2種類のものを合計して住民税になります。住民税の確定申告は収入が33万円以上の場合に課されます。
所得割とは、各人の所得に応じて課される税金であり、一律で所得の10%が所得割に充てられます。
一方で均等割とは、所得に関わらずすべての国民の間で一律に課される定額の税金です。
住民税の大きな特徴は収める先でしょう。所得税などは国に治める税金であるのに対して、住民税は各地方自治体に収めることになっています。
そのため、住民税の減額や控除、場合によっては金額なども地方自治体によって異なります。そのため、自分の住む地方自治体のHPなどで、調べる必要があるでしょう。
住民税のまとめ
住民税については、
- 住民税は収入33万円以上の人に確定申告が義務付けられている。
- 住民税は所得割と均等割という2つの要素で決定される。
- 地方自治体に収める税金であるため、細かい規定は各自治体によって異なる。
このようにまとめられます。
国民健康保険税について
個人事業主となって国民健康保険への切り替えを行った場合、支払う必要があるのがこの国民健康保険税(国民健康保険料)です。
こちらも各市区町村の窓口で手続きをするため、各地方自治体によって保険料の金額や納付の方法も異なるため、自分が住んでいる地方自治体のHPを見て参考にしましょう。
国民健康保険税の金額の目安としては、均等割(所得に寄らない1世帯当たりの定額税)を基本として、扶養家族の人数や収入、資産などを加味して決められます。
基本的に、扶養家族の人数や収入、資産が多ければ多いほど、納税額が増えることになります。また、この国民健康保険税として支払った分は社会保険料控除という扱いになり、確定申告の際の所得から差し引くことが出来ます。
国民健康保険税のまとめ
国民健康保険税については、
- 国民健康保険に加入している人が対象となる。
- 各地方自治体によって、金額や納付方法が異なる。
- 確定申告の際、国民健康保険税で支払った分は所得税の控除の対象となる。
このようにまとめられます。
国民年金税について
国民健康保険と同じように、こちらも個人事業主として国民年金に加入した際に支払うべき税金となります。
国民年金税は月々の納付であり、万が一手続きなどを行わずに払い忘れなどをしてしまうと、将来もらえる年金が少なくなってしまうなどのリスクを背負うことになります。
何らかの事情で、どうしても年金税が払えない月には、減免申請をあらかじめ行っておくことで、後から追加で納付をすることが出来ます。
こちらも国民健康保険税と同様に、社会保険料控除の対象となり、所得税の減税をすることが可能です。
国民年金税のまとめ
国民年金税については、
- 国民年金に加入している人が対象となる。
- どうしても税を払えない月は、あらかじめ減免申請をしておくこと。
- 確定申告の際、国民年金税で支払った分は所得税の控除の対象となる。
このようにまとめられます。
個人事業主税について
個人事業主税は、個人事業をしていて年間290万円以上の所得がある人に課せられる税です。前年の所得から290万円を引いた額に対しての3~5%が納税額になります。
この個人事業主税に関する知っておきたい知識として、扱う事業ごとに納税率が異なるというのがあります。税の率は地方税法によって定められています。
例えば、デザインを扱う事業では5%が課せられるのに対して、ライター業は地方税法で決められた事業ではないため個人事業主税は課せられません。(2017年6月現在)
業種ごとの税率は、東京都主税局のHPにて確認が出来ます。
個人事業主税のまとめ
個人事業主税については、
- 個人事業をしていて年間290万以上の所得がある人に課せられる。
- 地方税法により、業種ごとに納税率が異なる。
- 各業種による税率は東京主税局のHPで確認ができる。
このようにまとめられます。
消費税について
消費税と言うと、物を買った時にかかる税金というイメージが強いでしょう。逆に自分が事業者として、他の人に商品やサービスを提供する場合にも、消費税を考慮する必要があります。
ただし、個人事業主が消費税の納税を課せられるのは、年間の売り上げ収入が1000万円を超えた場合です。年間1000万円に満たない事業者は納税の必要がありません。
つまり、消費税を納める立場にあるということは、個人事業主としてかなりの成功を収めていると言ってよいでしょう。消費税の申告は特に複雑な仕組みであるため、税理士などに依頼をするのが一般的です。
個人事業主として駆け出しのうちは、こういう納税の仕組みもあるのかという認識程度で十分でしょう。
消費税のまとめ
消費税については、
- ここで言う消費税とは、自分の顧客から受け取った消費税分を納税するもの。
- 年間の消費税を除いた収入が1000万円を超えた場合に課される。
- 国税の中でも、申告が特に複雑である。
このようにまとめられます。
個人事業主は事前に税金用の資金を確保しておくべき
ここまでに紹介した6種類が個人事業主として活動する際に留意しておくべき税金です。
個人事業主になりたての人は、これらの税金の額を少なく見積もり過ぎたために、納税が必要になったタイミングで資金を必死に集めることになる人も少なくありません。
このような事態にならないためにも、先に税金の分は確保しておき、余ったお金でやりくりをすることを心がけましょう。
また、少し面倒に感じるかもしれませんが、知っておくと税金の控除や減額などが出来る制度も存在します。自分なりにこういった税金に関する知識をつけることも個人事業主には必要になります。
どうしても面倒な場合は、素直に税理士などを雇うのも良いでしょう。納めるべき税金はしっかりと納めて、長期的に活動できる個人事業主を目指すことが大事です。