この記事では、ライターやブロガーをはじめとした『文章を書く仕事』をしている人に向けて、『読みやすい文章を書くための5つのポイント』をご紹介します。
最近の傾向として『質の高い記事を書く』ことが求められていますが、どんなに良い内容でも文章が読みにくければ、そもそも内容を読んでもらうことすらできません。
そういう意味では、『読みやすい文章を書くこと』は記事の内容以上に気を使うべきポイントなのです。
この記事で紹介しているポイントを押さえておけば、ライティング初心者でもプロのライターレベルに読みやすい文章を書けるようになるので、ぜひ最後まで目を通してみてください。
読みやすい文章を書くコツ 基礎編① 『主語と述語を一致させる』
読みやすい文章を書くコツの一つに『主語と述語を一致させる』というものがあります。例えば、まず以下の文章を読んでみてください。
ライティングのコツは、読みやすい文章になるように意識しています。
この文章、なんとなく違和感があるのがわかりますか?上の例の文章が読みにくい理由は『主語と述語が一致していない』からです。
上の文章の主語と述語を抜き出すと『ライティングのコツは意識しています。』となります。「ライティングのコツが意識している」って意味がわからないですよね。
このように主語と述語が一致していないことを『主語と述語のねじれ』と言います。
では、上記の例文の主語と述語を一致させて、読みやすい文章にするとどうなるのかを見てみましょう。以下の文章を読んでみてください。
- ライティングのコツは、読みやすい文章になるように意識をすることです。
- (私は)ライティングをする際に、読みやすい文章を書くように意識しています。
例文2主語と述語を抜き出すと、それぞれ『ライティングのコツは〜意識をすることです。』『(私は)意識しています。』となります。両方とも読みやすい文章になっていますね。
『主語と述語のねじれ』の修正方法
文章を書いている時は書くことに集中しているため、どうしても『主語と述語のねじれ』に気付くのが難しいです。
ですが、上記の例から分かるように、『主語と述語のねじれ』は文章を読んでみると違和感があるので、すぐに気付くことができます。
より正確に言うと、前述したように『主語と述語』だけを抜き出してみると(『AはBした』など)、主語と述語がねじれているかどうかが一発で分かります。
よって、一通り記事を書き終えたら、公開・納品をする前に、必ず一度自分で文章を読み返すか、周りの人に文章を読んでもらう習慣をつけてくだださい。
自分の文章を読み返すと、『主語と述語のねじれ』や誤字脱字に気付くことができるので、結果的にミスの少ない読みやすい文章が書けるようになります。
読みやすい文章を書くコツ 基礎編② 『てにをは』
『てにをは』とは、わたし『が』〜などに代表される助詞の総称のことを言います。このように書くと難しそうですが、分かりやすく解説するので安心してください。
『てにをは』は、文章の中のたった数文字ですが、文章全体の印象やニュアンスに大きく影響します。まずは以下の例文を読んでみてください。
- ライティングは好きです。
- ライティングが好きです。
上記の例文はどちらも、ライティングが好きであることを伝える文章ですが、与える印象が少し違うことが分かるでしょうか?
『ライティングは好きです。』だと、「ライティングは好きだけど、その他のことはちょっと…」というニュアンスを感じます。
一方で、『ライティングが好きです。』だと、「心の底からライティングが好き」というニュアンスを感じますよね。
『てにをは』に関して、もう一つ例文を用意したので、以下の2つの文章を読み比べてみてください。
- 有名人に取材をする
- 有名人を取材する
こちらの例文では、「に」と「を」のニュアンスの違いに注目してみてください。
どちらも文法的に間違いではありませんが、「を」を使った方がより『目的をもってインタビューをしている』というニュアンスを伝えることができます。
また、「に」を使う場合には、『取材する』よりも『取材をする』の方が自然で読みやすい文章になりますね。
このように『てにをは』は文法的に間違いではないものの、使い方一つで文章の印象をガラッと変えるため、読みやすい文章を書く上で欠かせない要素なのです。
『てにをは』を正しく使うには?
残念ながら、『てにをは』の正しい使い方を習得するのは簡単ではありません。なぜなら、上記の例のようにニュアンスの違いこそあれ、文法的にはどちらも正しい場合が多いからです。
つまり、明確な正解不正解がないからこそ、『てにをは』を正しく使うには、ニュアンスや感覚といったセンスが求められます。
ただし、センスとはいっても生まれ持った『才能』は必要ありません。地道に文章を書いたり、本を読んだりすることで、日本語のセンスは誰でも身につけることができるのです。
一朝一夕で身につけられるものではありませんが、ライターをはじめ文章を書く仕事をしている人は、たくさん書き、たくさん読んで、日本語のセンスを鍛えていきましょう。
これは僕の主観ですが、やはりたくさん本を読んでいる人ほど、こういった日本語のセンスが良い傾向にあります。
また、日本語の微妙なニュアンスの違いは、ビジネス書よりも小説などで、より顕著です。この機会にまずは一冊、最初はページ数の少ない本でもいいので手にとってみてはいかがでしょうか?
読みやすい文章を書くコツ 基礎編③ 『接続詞』
読みやすい文章かどうかは、『接続詞』を正しく使っているかどうかで決まると言っても過言ではありません。
まずは、意外とやってしまっている人も多い、接続詞の定番の間違いを例としてご紹介します。
私はライティングスキルに自信があります。しかし、文章を書くのが得意です。
『しかし』は逆接の接続詞。つまり、Aという文章とBという文章が逆の意味を持つ時に、『A、しかしB』と書くのが正しい使い方です。
上記の例では『しかし』を使っているにも関わらず、その前後で文章の意味が逆になっていないため、違和感のある文章になってしまっています。
接続詞が文章を読みやすくする理由
読みやすい文章を書くにあたって、『接続詞』がなぜ重要なのかについて少し触れておきます。接続詞の役割を簡単に言うと、『文章の展開をあらかじめ示すこと』です。
例えば、Aという文章のあとに『さらに』と来たら、読者は『この後に追加情報があるんだな』と予測しますよね。このように、接続詞は次にくる内容を読者に伝える役割があるのです。
- さらに :「追加の情報があるんだな」
- つまり :「まとめに入るのかな」
- しかし :「これまでと違う主張が来る」
- なぜなら:「理由を説明するんだな」etc…
このように、接続詞を使って読者にこの先の展開を先に示すことで、スラスラと文章を読み進めてもらえるようになるわけです。
逆に、接続詞による『予測』を裏切る文章を書くと、読者は自分の予想と違う話の展開に戸惑い『この文章は何が言いたいんだ?理解できない』となってしまいます。(例文1参照)
だからこそ、読みやすい文章を書くにあたって、接続詞は非常に大切なのです。
接続詞を正しく使うには?
接続詞を正しく使うためには、以下の2つのポイントを押さえてください。
- それぞれの接続詞の意味をしっかり覚えること
- 文章の論理構造を意識すること
1つ目のポイントは、それぞれの接続詞の意味をしっかりと覚えることです。要は『しかし』の後は逆の意味が来る、『さらに』の後は追加情報が来るといった役割をしっかり覚えることです。
そのためには、『A接続詞B』という例文を使って、AとBの文章がそれぞれどのような関係性なのかに注目するのがおすすめです。
- AさらにB :Bの文章でAの内容に情報を追加している
- AまたB :Bの文章でAの内容に情報を追加している
- AしかしB :AとBで逆の内容になっている
- AなぜならB:Aの理由をBで示している
- AするとB :Aをした結果がBになっている。
- AなおB :Bの文章でAの内容を強調している
2つ目のポイントは、自分が書いている文章の論理構造をしっかりと把握することです。例えば、以下の例文を見てみてください
私は文章を書くのが得意です。[ ]、ライターをやっています。
では、上記の例文4の[ ]には、どんな接続詞を入れるのが適切でしょうか?この問題に答えるためには、接続詞の前後の文章の関係を明らかにする必要があります。
上記の例で言うと、『文章が得意であることを活かしてライターをやっている』という意味が予測できますよね。
ここまで分かれば、[ ]には『なので』『だから』といった接続詞が入ることがなんとなく分かるはずです。
最初は面倒に感じるかと思いますが、慣れてくれば一瞬で適切な接続詞を使えるようになります。「接続詞を正しく使うのが苦手…」という人は上記の方法をぜひ試してみてください。
接続詞は読みやすい文章を書く上で非常に重要な要素ですが、多用するとかえって文章が読みにくくなる場合も多いので使いすぎには注意しましょう。
- 悪い例)私はライティングが得意です。なので、WEBライターの仕事をしています。そして、執筆速度はそこまで早くはありません。ただし、質の良い記事を書くことができます。
- 良い例)私はライティングが得意です。なので、WEBライターの仕事をしています。執筆速度はそこまで早くないですが、質の良い記事を書くことができます。
『接続詞を省いても意味の通る文章』もあるので、そのような場合はあえて接続詞を省略して、リズムの良い文章にするのも一つの手です。
読みやすい日本語の文章を書くコツ 基礎編④ 『スッキリした言い回し』
『スッキリした言い回し』にすることも、読みやすい文章を書くにあたって必ず意識しておきたいポイントです。まずは以下の例文をご覧ください。
基本的に、読みやすい文章を書くことにおいて重要な点の一つは、日本語を正しく使うことにあります。
文法的な間違いではないものの、上記の例文がとても読みにくいのは分かりますよね。その理由は、『回りくどい言い回し(=冗長な文章)が多いから』です。
上記の例文をスッキリした言い回しに直すと、以下のような文章になります。言っている内容は同じですが、格段に読みやすくなっています。
読みやすい文章を書く際に重要なのは、日本語を正しく使うことです。
このように、言葉はできるだけ端的にまとめた方がリズムも良くなり、スラスラと文章を読めるようになります。
スッキリした言い回しを意識するには?
スッキリした言い回しの文章を書くためには、『冗長な文章』になってしまう原因を知ることが大切です。
冗長:文章・話などが、むだが多くて長いこと。また、そのさま。
(参考:https://dictionary.goo.ne.jp/word/%E5%86%97%E9%95%B7/#jn-109389)
冗長な文章になってしまう原因には、以下のようなものがあります。
- 『の』を多用
- 二重否定
- 回りくどい文末
- 難しい言葉の使用
- その他、筆者の癖
1、『の』を多用している
文章を繋げる際に便利な『の』という言葉ですが、多用すると何について書いているのか分かりづらくなってしまいます。
- NG)ライティングのスキルのコツ
- OK)ライティングスキルのコツ
2、二重否定を使っている
二重否定は文章の理解が難しくなるので、使わないようにしてください。二重否定は『肯定文』に直しましょう。
- NG)できないことはない。
- OK)できる。
3、文末が回りくどい
文末は、回りくどい表現をついつい使ってしまいがちなので、特に注意してください。
- NG)おすすめだったりします。
- OK)おすすめです。
4、難しい言葉を使っている
難しい言葉を使うと、回りくどい文章になる場合があります。より端的な他の言葉に言い換えられないかを考えてみてください。
- NG)執筆しましょう。
- OK)書きましょう。
5、その他、筆者の癖がある
文章を書く人はそれぞれ、自分なりの言葉の癖を持っています。例えば僕の場合、本来は不要な箇所で『基本的に』といった言葉を無意識的に使ってしまう癖がありました。(今は意識的に使わないようにしています。)
他には、『〜において』という言葉を多用する人を見かけたことがあります。『〜において』は、『〜は』『〜の際は』などの言葉に置き換えることができます。
このように、自分が無意識的に使ってしまっている冗長な表現というのは、気付かないだけで多くの人が持っている悪い癖です。
なので、自分が書いた文章を他の人に読んでもらい、冗長な言い回しがないかのチェックを受けましょう。文章を読んでもらえる人がいない場合は、自分自身で文章を読み返すのがおすすめです。
読みやすい日本語の文章を書くコツ 基礎編⑤ 『必要な言葉を省略しない』
いろんな人の文章を見ていると、稀に『必要な言葉が不足している文章』を見かけます。この説明だけだとイメージが難しいと思うので、例によって以下の記事を見てみてください。
私が記事を書いている間、おもちゃで遊んでいた。
文脈的には『私が記事を書いている間、息子(娘)はおもちゃで遊んでいた』というのが正しい文章です。
しかし上記の文章だと、記事を書いているのが『私』であることは分かりますが、おもちゃで遊んでいたのが誰かが不明確ですよね。
この文章が読みにくい理由は、本来省略をしてはいけない『息子(娘)』という主語がないからです。このように『必要な言葉が省略』されていると非常に読みにくい文章になってしまいます。
例文1は『主語』が足りないパターンでしたが、次に『目的語』が足りないパターンを見てみましょう。
記事を書くのに慣れているからといって油断していると、陥(おちい)るかもしれません。
こちらの文章を読みやすい文章に修正すると、『記事を書くのに慣れているからといって油断していると、思わぬ失敗に陥(おちい)るかもしれません。』となります。
上記の例文2では、『何に陥るのか』が書かれていないため、文章として未完成で読みにくいものになってしまっています。
こうして文章を読んでみると、「そんなミスするわけない!」と思うかもしれませんが、実際はこのような凡ミスをしている人がたくさんいるのが現状です。
「こう書いておけば伝わるだろう」と思っても、いざ文章を読んでもらうと『読者に伝わらない』『 変な捉えられ方をする』ことが多々あります。
せっかくライターの頭の中では「こう伝えたい」という思いがあっても、必要な言葉が抜けてしまっていては、読者にその思いを伝えることができません。
ライター側の意図をはっきりと読者に伝えるためにも、『本来必要なはずの言葉が抜けていないか』という点を常に意識してください。
必要な言葉を省略しないためには?
上記のような『未完成な文章』を書かないためには、日本語の基本的な構文をしっかり押さえておく必要があります。
構文とはいってもそんなに難しいものではありません。『AがBをCした』という文章になっているかどうかをチェックするだけです。
- 「私は食べた」 :何を食べたのかが抜けている。
- 「朝食を食べた」:誰が食べたのかが抜けている。
- 「私は朝食を」 :朝食を『どうしたのか』が抜けている。
例外はありますが、基本的にはこの『AはBをCした』という文章になっていれば、未完成の文章になることはありません。
一通り文章を書き終えたら、『本来必要な言葉が抜けていないか』をチェックする癖をつけましょう。
読みやすい文章のセルフチェック方法
ここまでに、読みやすい文章の基本として押さえておきたい5つのポイントを紹介しました。
- 主語と述語を一致させる
- 『てにをは』を正しく使う
- 接続詞の使い方に気を付ける
- スッキリした言い回しにする
- 必要な言葉を省略しない
これらのポイントを意識すれば、誰でもプロレベルの読みやすい文章を書けるようになります。
とはいえ文章を書く際に、これらのポイントを1つ1つチェックしていくのは非常に時間がかかるし大変です。
そこで、読みやすい文章が書けているかどうかを自分で判断できるとっておきの方法をご紹介します。その方法とは、『書き終えた文章を自分で音読する』というものです。
読みやすい文章の奥義は『音読』にあり
バカにしているわけではなく、読みやすい文章を書くにあたって、『音読』ほど効果の高いものはありません。騙されたと思って、一度自分が書いた文章を音読してみてください。
カフェや職場など、音読ができない環境で文章を書いている場合は、黙読でもOKです。ただしその際も、飛ばし読みではなく、一字一句読むようにしてください。
音読をすることで読みやすい文章を書けるようになる理由は、『文章を耳で聞くことができる』からです。
そもそも私たち日本人は、義務教育の中で作文や小論などの『文章を書く機会』が数えるほどしかありません。なので、文章を書くのは苦手で当たり前なのです。
一方で、私たちは普段から日本語で会話をしているので、『日本語を話す・聞く』のには慣れています。
つまり、音読をして自分の耳で文章を『聞く』ことで、書いている時には気付かなかった日本語の微妙な違和感に自分で気付くことができるようになるのです。
実際、壊滅的な日本語を書いていた人に自分の文章を音読させたところ、「あ、ここの文章、なんか変ですね!」と自分で読みにくい部分を見つけられるようになっていました。
また、文章を一字一句追っていくため、必然的に『誤字脱字』も見つけることができるようになります。
極論を言います。読みやすい文章を書きたければ『音読だけ』やってください。それだけで十分です。
読みやすい文章を書くための基礎 まとめ
今回は読みやすい文章を書くために、最低限押さえておくべき日本語の基礎についてご紹介しました。
「今さら日本語の使い方なんてバカにしてるのか!」と思う人もいるかと思いますが、実際プロのライターでも不自然で読みにくい文章を書いている人がたくさんいるのが現状です。
ライターに必要なスキルとしてSEOライティングがありますが、どれだけ価値のある素晴らしい内容の記事を書いても、文章が読みにくいとそもそも記事を読んでもらえません。
そういう意味では、読みやすい文章を書くことは、価値のある内容の記事を書く以上に重要です。『読みやすい文章』を書くためにも、ぜひこの記事の内容を参考にしてみてください。