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せっかく予定を立てても、予定通りに行動ができた試しがないと悩んでいる人は多いのではないでしょうか?
このような予定と現実のギャップはどうして生じてしまうのでしょうか?
今回は、行動経済学という分野で明らかになった予定通りに作業が進まない原因を示しながら、余裕を持って時間を管理できるようになるための方法をご紹介します。
最近、数多くのタスクに追われて、常に焦燥感やストレスを感じているという人は、ぜひこの機会に「余裕を持ったスケジュールの作り方」を学んでみてはいかがでしょうか?
現実は予定通りに進まない
私たちは普段、自分の仕事の量や納期をスケジュール帳に書き込んで管理しています。しかし、完璧に自分の予定通りに事が進むことは実はそこまで多くありません。
むしろ、予定通りに事が運ばないほうが少ないという人の方が多いかもしれません。
なぜ、せっかく予定を立てたのに、スケジュール通りにいかない事が多いのか。それは人間のとある性質に原因がありました。
行動経済学が明らかにした「見積もりの甘さ」問題
行動経済学という分野の第一人者にダニエル・カーネマンという人がいます。ダニエル・カーネマンは、予定の見積もりが甘いせいで、いざ行動に移すと時間が足りないという現象を「計画錯誤(プランニング・ファラシー)」と名付けました。
例えば、37名の学生を対象に行った実験に以下のようなものがあります。
まずそれぞれの学生に対し、卒業論文の執筆に何日かかるかという質問をします。その結果、「何もかもがうまくいった場合」の見積もりは平均して27日間。「何もかもがうまくいかなかった場合」の見積もりは平均49日間という答えが出てきました。
そこで、実際に論文執筆に取りかかってもらったところ、なんと執筆完了まで平均して55日と「最悪の場合の見積もり」をはるかに超えてしまったのです。
また、当初の見積もり通りに論文の執筆を終わらせた人は、たったの3割に過ぎませんでした。
つまり、人は予定の見積もりが甘くなる傾向にあるという事が、この実験によって証明されたのです。
予定通りにいかなくても焦らないために”バッファ”を設けよう
どうやら、予定の見積もりが甘くなるのは人間の性質のようです。であれば、このような計画錯誤に陥らないためには、あらかめ「予定がうまくいかない場合」を想定するのが懸命と言えるでしょう。
そこで大事なのが、常に予定にはバッファ(余裕)を持たせておくということになります。
バッファを用意しておけば、万が一予定通りに事が進まなかった場合にも、焦らずに対処する事ができるようになるため、時間的にも精神的にも余裕を持って仕事に取り組めるようになります。
予定にバッファを設ける3つのアイデア
予定にバッファを設けるためには、実際に行動をする前、予定を立てる時点である程度余裕を持たせておく事が必要となります。
バッファをうまく予定に組み込む方法として、以下の3つの工夫をするのが有効です。
最悪の事態を想定する
何かの予定をスケジュール帳に組み込む際は、常に「最悪の事態を想定」しておく事が大切です。
もしも仮に、全てがうまくいって早めに予定を終わらせる事ができるのであれば、それはそれで問題ないはずです。逆に、あらかじめ最悪の事態を想定して予定を立てておけば、何かトラブルがあっても慌てずに対処する事ができるはずです。
基本的に予定を立てる際は、「何かトラブルが起こる」と考えておく方が、様々な面でメリットが大きいのです。
想定の1.5倍の時間がかかると考えておく
私たちは予定を立てる際、ついつい「その予定だけにかかる時間」をもとに計画を立てがちです。
しかし、大半の予定はその前後に準備や移動といった「その他の時間」がかかること方が多いですよね。
そこで、予定を立てる際はあらかじめ「その他の時間」も考慮に入れた時間をもとに予定を立てるのが好ましいです。
この時間は人によって様々だと思いますが、各予定の1.5倍を見積もりに入れておけば、予定に遅刻したり、仕事の納期に間に合わないといった最悪の自体は防げます。
”空白”を予定に入れる
仕事熱心な人ほど、スケジュール帳をびっしり予定で埋め尽くさないと気が済まない人が多いように思えます。
しかし、最初からびっしり予定が埋まっていると、例えば会議の時間が伸びたりした場合に、融通を利かせることが難しくなってしまいます。
できれば、1日に30分程度でもいいので「トラブル用の空白の予定」を組み込んでおくのがオススメです。このような「想定外用の時間」を確保しておけば、万が一トラブルがあった場合にも柔軟に対応することができます。
もしも予定が全て順調に進んだら?その時は、ご褒美としてその時間を自分の好きなことに使うのが良いでしょう。
時間にも心にもゆとりをもたらす”バッファ”
数多くの予定に追われる生活を続けていると、心にも余裕がなくなりストレスがたまり続ける一方になってしまいます。
そのような状態で、高いパフォーマンスを発揮できる人はいないはずです。
例えば、仮に1日30分のバッファを取るとして、それで時間に追われることなく精神的にも余裕を持って仕事に打ち込めるのであれば、それはかなり割の良い投資なはずです。
びっしりと予定が埋まっていることは、たしかに「仕事をしている感」を感じられて気持ちがいいですよね。ですが、あえて予定にバッファを設けることで、さらに気持ちよく予定をこなすことができるようになるはずです。
ぜひあなたも今すぐにスケジュール帳を開いて、定期的に「バッファ」を設けてみてください。