最低限これだけは知っておきたい「著作権法」入門!

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最近、何かと話題に上がることも多い「著作権」に関する問題ですが、実際のところ、私たちは著作権についてどれくらい”知っている”のでしょうか。

法律を学んでいる人を除けば、「人の作ったものを利用したりパクったりしたらアウト!」くらいの認識の人も多いはず。

そこで今回は改めて、「著作権とはなんぞや」ということについて学んでみようと思います。

法律が関係する以上、多少難しい言葉なども出てきますが、出来るだけ分かりやすくなるように心がけてこの記事を書いています。

また、この記事1つだけで、著作権に関する基本的な知識を網羅できるようになっているので、この機会に著作権についての知識をマスターしませんか?



そもそも著作権って何?

著作権 c

今の時代、いろんな場所で聞くことの多い「著作権」という言葉ですが、実際に著作権とは何かと聞かれると、なかなか答えるのが難しいですよね。

著作権を簡単に説明すると、「他人に無断で著作物を利用されない権利」ということができます。

そして著作権を守ることによって、文化の発展につなげることを目的としてできたのが、「著作権法」という法律です。

著作物ってそもそも何?

著作権とは、著作物を無断されない権利ということは前述しました。ところで、ここでいう著作物とは具体的にどんなものを言うのでしょうか?

著作権法では、著作物を「思想又は感情を創作的に表現したものであって、文芸、学術、美術又は音楽の範囲の属するもの」と定義しています。

つまり、

自分の思想や感情が含まれていること

創作的(個性、独自性がある)であること

アイデアなどを表現していること

文芸、学術、美術、音楽に関連するものであること

といった4つの条件を満たしたものだけが、著作物ということになります。

よって、事実をただ羅列しただけの思想、感情の含まれないコンテンツやパクリコンテンツ、表現されていないアイデア、文芸、学術、美術、音楽に含まれないコンテンツ(クルマのデザインなど)は、著作物ではないので注意が必要です。

著作権の原則

著作権は、発明品の特許などとは異なり、著作物を創作したその瞬間から発生する権利です。

よって、基本的に著作物の創作者=著作者=著作権者となります。

ただし、著作権は他人の譲ることもできるので、必ずしも創作者=著作権者であるとは限らないのです。ここら辺が少しややこしいですね。

簡単に整理しておくので、著作権、著作物、著作者、著作権者の違いを理解しておきましょう。

著作権:他人に無断で著作物を利用されない権利のこと

著作物:思想又は感情を創作的に表現したものであって、
文芸、学術、美術又は音楽の範囲に属するもの

著作者:著作物を創作した人(団体の場合もある)

著作権者:著作権を所有している人(団体の場合もある)

この違いを理解しておくと、著作権についての理解がぐっと楽になるので、ちょっと大変ですが、頑張ってついてきてください!

著作権を構成する2つの権利

りんご 2つ

よく使われる著作権という言葉ですが、厳密には著作権には「著作者人格権」と「著作財産権」という2つの権利によって構成されています。

上で「著作権は他人に譲れる」と書きましたが、より厳密にいうと権利を譲れるのは「著作財産権」だけであり、「著作者人格権」は著作物の創作者が持つ他人に譲ることができない権利なのです。

著作財産権→他人に譲ることができる。

著作者人格権→他人に譲ることはできない。
(=著作者人格権の所有者は、必ず著作者=創作者となる)

著作財産権と著作者人格権を合わせて、著作権という。
(一般的には、著作権といえば著作者財産権を指すことが多い。)

では、著作者人格権、著作財産権が、それぞれどういった権利なのかを詳しく見ていきましょう。

著作者人格権

前述したように、著作者人格権は他人に譲ることができない権利です。よって、必ず著作物を生み出した人(=著作者)が所有する権利となります。

著作者人格権には主に3つの権利があります。

公表権

公表権とは、著作物を公表するかどうかやいつどこで公表するかといった決定ができる権利のことを言います。

よって、たとえ著作(財産)権を持つ人(=著作権者)であっても、それが自分の著作物ではない場合、必ず著作者に公表していいかどうかといった判断を仰がなければならないのです。

氏名表示権

氏名表示権とは、著作物を公表する際に著作者名を表示するかどうかを決定する権利です。

また、著作者名を公表するかどうかに加えて、公表する場合に「本名」と「ペンネーム」のどちらを表示するかを決めることも氏名表示権に含まれます。

つまり、著作物を著作権者が利用する場合、著作者は著作者名を

  • 本名
  • ペンネーム
  • 匿名(氏名等を公開しない)

の中から自由に選ぶことができるわけです。

ただし、「普通に考えて、名前を公表する必要はないよね」と考えられる場合(カフェでBGMを流す場合など)には、著作者名を公表する必要はないという例外も定められています。

同一性保持権

同一性保持権って聞くと「何それ?」ってなりそうですが、簡単にいえば著作物の内容などに関して、勝手に変えることを拒む権利のことを言います。

つまり、著作者以外の人が、勝手に著作物を改変してはいけませんよということです。

たとえば、著作者が書いた小説に対して、著作権者が「この文章、なんか読みにくい」と考えて勝手に文章を変えてしまう。このような行為は、この著作者人格権の同一性保持権の違反となります。

著作財産権

著作権のもう一つの権利が、この「著作財産権」です。この記事の冒頭でご紹介した「他人に著作物を無断で利用されない権利」が、著作財産権の持つ権利となります。

ちなみに、著作財産権は他人に譲り渡すことが可能なため、著作財産権の持ち主は著作者と異なる場合がよくあります。

たとえば、あるアーティストが作った楽曲の著作者はそのアーティストですが、その権利である著作財産権は、JASRACという著作権管理団体が所有していることがほとんどです。

この場合、前述した著作者人格権にあたる「公表権」「氏名表示権」「同一性保持権」は著作者であるアーティストが主張できる権利ですが、以下に紹介する「著作財産権」にあたる各権利は、著作財産権のないアーティストが主張することはできません。

少し前置きが長くなってしまいましたが、著作財産権に含まれる各権利について、それぞれ見ていくことにしましょう。

複製権

著作権と聞いて、最もイメージしやすいのがこの「複製権」でしょう。

複製権とは文字通り、「著作権者に無断で著作物を複製(=コピー)されない権利」のことを言います。

ここでいう複製には、丸パクリだけではなく、類似した作品を作ることも含まれますが、どの程度似ていると複製にあたるのかについては難しいところです。

仮に複製権の侵害といったトラブルが起こった場合、今の所、明確な規定がないため、過去の裁判の判例などをもとにその都度審議することになるでしょう。

演奏権

演奏権とは、「著作物を無断で公衆に聞かせるために演奏させない権利」のことを言います。

少し前にJASRACが音楽教室で演奏をする際に使用料を請求したことで大きな話題を呼びましたが、これは「音楽教室での演奏は公衆での演奏にあたる」というJASRACの主張をめぐる問題なのです。

ここでいう「公衆」は、どれくらいの規模を指すのか。これが、この騒動の争点となっています。

上演権

上演権は、演奏権の上演バージョンのようなものです。

すなわち、「著作物を無断で公衆に見せるために上演させない権利」のことをいいます。

上映権

上映権は文字で分かるように、「無断で著作物を公衆に上映するな」と言える権利のことを言います。

スクリーンやモニターに表示させるものは映画に限らず、写真や動画なども上映権の守備範囲です。

公衆送信権

公衆送信権とは、「無断で著作物を放送・有線放送やインターネット配信されない権利」のことをいいます。

そう、あなたもお気付きの通り、ネット上に漫画やドラマなどを勝手にアップロードしてはいけない理由が、この
「公衆送信権」に違反するからなのです。(もちろん、モラル等の問題もあるでしょうが。)

最近「漫画村」や「anitube」などの海賊版サイトがNTTコミュニケーションズなどによってサイトブロッキングされたことが話題となりましたが、これからもこの「公衆送信権」をめぐる対策が行われていくことになるのではないかという意見が多く見受けられます。

口述権

口述権とは、「無断で言語に関する著作物(小説など)を公衆に聞かせるために口述(朗読)」することを禁止する権利です。

例えば、読書の新しい可能性として、オーディオブックというものがありますが、このような本の朗読を「無許可で」行うことは、口述権の侵害に当たります。

展示権

展示権は「美術作品、写真作品を公衆に見せるために無断で展示させない権利」のことを言います。

ただし、この権利に関しては対象が著作物全般ではなく「美術作品、写真作品」に限られる点に注意が必要です。

ちなみに例外として、作品の所有者は著作権者に無断で展示することが認められています。

譲渡権

譲渡権とは「著作物やその複製品を無断で公衆相手に販売、譲渡されない権利」のことを言います。

例えば、とあるアーティストの楽曲が録音されたCDを、著作権を持たないファンが勝手に公衆相手に販売することは、この譲渡権の侵害になります。

著作物そのものではなく、海賊版などの複製品についても、同様の扱いを受ける点に注意しましょう。

貸与権

貸与権は、譲渡権の貸し借りバージョンと捉えればわかりやすいでしょう。

つまり、「著作物、複製品を無断で公衆相手にレンタルされない権利」のことを貸与権と言います。

ちなみに、「譲渡権」と「貸与権」は、映画の著作物には適用されません。映画の譲渡、貸与などに関する権利は、別途「頒布権」で定められています。

頒布(はんぷ)権

頒布権とは、映画の著作物にのみ適用できる権利で、「映画に関する著作物(DVD等も含む)を無断で公衆に販売、譲渡、貸与させない権利」です。

簡単にまとめるなら、「譲渡権」と「貸与権」を併せ持つ映画関連の著作物にのみ適用される権利となります。

翻案権(二次的著作物創作権)

翻案権とは、「無断で二次的著作物を捜索されない権利」のことを言い、二次的著作物創作権とも言われます。

二次的著作物とは、「既存の著作物に創作性を加えて、別の新たな著作物」のことをいいます。

たとえば、元々は小説だった著作物に、新たに手を加えて作られたドラマや映画が二次的創作物です。

要は、二次的創作物を作る際は、その元となる著作物の著作権を持つ人に許可を取らなければいけないということです。

二次的著作物の利用権

二次的著作物を作るにあたって元となる著作権を持つ人は、二次的著作物に対しても著作権が与えられます。

よって、元の著作の著作権者は、二次的著作物に対してもこれまでに紹介してきたような各著作財産権を利用することができるのです。

このような権利のことを「二次的著作物の利用権」と言います。

ちなみに、ここで認められているのはあくまで「著作財産権」だけなので、著作者人格権にあたる「公表権」「氏名表示権」「同一性保持権」などは持つことができません。

著作権違反にならない例外〜権利制限規定〜

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原則として、これまでに紹介してきた各権利を侵害する行為は著作権違反となります。

しかし、それでは「テレビ番組の録画」や「CDのコピー」(複製権の侵害)など、多くの人が普段からやっている行為全てが「著作権違反」となってしまいます。

そこで、著作権法では「権利制限規定」という例外を設けています。

例えば、「自分が楽しむためだけに行う行為」や「文章の引用」、「営利を目的としない利用」などに関しては、ほかの法律に違反しない限りOKということになっているのです。

著作権の有効期限は?

著作権 PD 期限

そういえば、至る所で使われている著作物にクラシック音楽などがありますね。でも、クラシック音楽を使う際にわざわざ著作権者に使用許可を求めている人などいないはず。

この点はどのように説明できるのでしょうか?

その答えは、「著作権には有効期限がある」というものです。基本的に有名なクラシック音楽のほとんどはすでに著作権の有効期限が切れているため、自由に使っても問題ないのです。

著作権の有効期限は以下のルールに従って、決められています。

原則として、著作者の死後50年

著作者が匿名、ニックネームの場合、著作物の公表から50年

団体名義の場合、著作物の公表から50年

その他、いくつかの例外などもありますが、ややこしくなる上にかなりレアなケースとなるので、ここでは省略させていただきます。

基本的には、上記の3つのどれかが著作権の有効期限となります。

著作権の基礎知識を学ぶのにおすすめの1冊!

本 ハート

この記事のタイトル、覚えていますか?そう、「最低限これだけは知っておきたい「著作権法」入門!」です。”入門”です。

最後まで読んでくれたあなたは「著作権法ってかなり複雑なんだな」という印象を持ったことでしょう。しかし、これらの内容は著作権法のさわりにすぎないのです。

とはいえ、この記事の内容さえ理解すれば、よくTwitter上で問題になるイラスト等の無断転載や、最近話題の漫画村など海賊サイト問題、自分が情報発信をする際に著作権違反にならないために気をつけるべきことなどは網羅できます。

かくいう僕も今、猛烈に著作権について勉強している真っ最中なのですが…

もしも、著作権のトラブルを抱えている方や、この記事を読んで著作権についてもっと勉強してみたいと思った方は、まずは「はじめての著作権法 (日経文庫)」という本から読んでみるのがオススメです。

初心者の僕でも(ちょっと頑張れば)理解できるくらいわかりやすい内容な上、著者である池村聡さんの絶妙なユーモアもあり、著作権という堅苦しいテーマにも関わらず非常に読みやすい1冊となっています。

作家やイラストレーター、デザイナーはどのみちいつかは著作権についてある程度勉強することが必要不可欠なはずです。ぜひこの機会に、著作権法の基本だけでも学んでみてはいかがでしょうか?

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