営業マンのための日本一わかりやすい特定商取引法【通信販売編】

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あなたもこれまでに一度は、インターネットから何か商品を購入した経験はあるはずです。そして、このようなネットを通じてショッピングをする人の割合は今後ますます増えていくことはもはや疑いようがありません。

ということは、あなたが事業をする場合も、インターネットなどをはじめとした通信販売を営業手法として取り入れることで、より多くの利益を見込めるということです。

そこで今回は、「通信販売を行う際に必ず抑えておきたい特定商取引法」についてこの機会に学んでおきましょう。

基本的に通信販売の規制に関しては、広告の記載内容に関するものが大半を占めています。この記事ではそれら13項目についてそれぞれ気をつけるべきポイントを詳しく解説したので、この記事を読みながら実際に通信販売の必須記載事項を作成してみてはいかがでしょうか?



通信販売とは

ネットショップ 通信販売 通販

近年はアマゾンをはじめとするネットショップで買い物を済ませる人も多くなってきました。

このように「消費者がテレビ、ネット、メール、カタログなどを見て、郵便や電話、ネット注文で商品を購入する販売形態」のことを通信販売と言います。

消費者だけではなく、事業者側にとっても、リアルの店舗を持つ必要がない分コスト面などでメリットの多い販売形態ですが、間接的な売買契約である点からトラブルになるケースも多いのです。

このような現代になって出現したショッピング形態を健全なものにするため、特定商取引法では、通信販売に関していくつかのルールを設けています。

特定商取引法によって定められた通信販売時の広告記載事項

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特定商取引法では、通信販売をする際に出す広告内容について一定のルールを設けています。

具体的には、以下のような必須記載項目を記載したものを消費者が見られるようにしておくことが必要となります。

  1. 商品の販売価格(送料別途の場合は、送料も記載)
  2. 商品の代金の支払い時期と支払い方法
  3. 商品の引き渡し時期
  4. 返品に関する事項
  5. 販売業者の氏名、住所、電話番号
  6. ホームページに広告を出す場合の責任者の氏名(法人の場合)
  7. 申し込みの有効期限について
  8. 販売価格、送料以外に別途費用がかかる場合はその内容と金額
  9. 商品に瑕疵(かし=隠れた欠陥)があった場合の対応内容
  10. ソフトウェアに関する商品の場合、その動作環境
  11. 商品の販売数量、販売条件の内容
  12. カタログなどの詳細を広告以外の書類請求に費用がかかる場合はその金額
  13. 電子メールで広告を送る場合は、事業者のメールアドレス

これらの必須記載事項にはより細かい規定などがあるため、それぞれの内容について詳しく解説していきます。

商品の販売価格、送料

広告には商品の販売価格を記載する必要がありますが、その際に記載する価格は「実売価格」でなければなりません。

また、商品に消費税がかかる場合は、消費税込みの価格を表示する必要があります。

商品を消費者に届ける際に送料がかかり、その負担を消費者に引き受けてもらうためには、販売価格とは別に「送料の価格と消費者負担であること」を記載します。

送料の記載がない場合、「送料も販売価格の中に含まれる」と解釈されるので注意しましょう。

加えて、送料についても必ず「具体的な金額」を示さなければなりません。よって、「送料は実費相当」といった曖昧な表現はNGです。

商品の代金の支払い時期と支払い方法

通信販売での代金の支払い時期は、「前払い」「後払い」「代金引換」などのパターンが考えられます。この部分は非常に大切な内容なので、しっかりと広告に記載しましょう。

代金の支払い方法に関しては、可能な支払い方法を漏れ無く記載する必要があります。例えばクレジットによる支払いと銀行振込に対応している場合、「クレジット決済、銀行振込」と記載します。

商品の引き渡し時期

通信販売では、商品を申し込んでから実際に手元に届くまでにタイムラグがあるのが普通です。そこで、申し込みからどれくらいの期間で商品が手元に届くのかを記載することが義務付けられています。

例えば、後払い方式であれば、「申し込み後〇日以内に発送します」、前払い方式であれば「代金の入金確認後〇日以内に発送します」と書くのが一般的でしょう。

特に、前払い方式の場合、消費者は一時的に「お金を払ったのに商品が届いていない」という不安を抱えることになります。よって、必ず商品の引き渡し時期を記載し、消費者の不安を和らげることが必要です。

返品に関する事項

実は通信販売が他の特定商取引と大きく異なる点として、クーリング・オフ制度がないという特徴があります。

しかし、事業者側の判断で「満足していただけなければ全額返金します」という広告を出すなど、商品に目立った欠陥がなくとも返品を受け付ける場合が考えられます。

このように事業者側が返品保証を独自に設ける場合の条件や返品方法、返品の際の送料がどちらの負担なのかといった内容を記載する必要があります。

とはいえ、返品保証を設けるかどうかは事業者側の自由なので、商品に欠陥がある場合を除き、「返品は受け付けません」という記載をしていれば、返品に応じる必要はありません。

ちなみに、広告の項目に返品に関する項目が記載されて”いない”場合は、商品を受け取ってから8日以内であれば、消費者は送料を負担して返品が可能です。

販売業者の氏名、住所、電話番号

通信販売をする際は、広告に必ず販売者の氏名をはじめとした販売者情報を記載しなければなりません。

これらの内容は、事業者の詳細を伝える非常に大切な内容であるため、原則として「広告の冒頭部分から簡単に記載箇所に到達できる」ようにする必要があります。

記載内容は個人事業と法人で少し異なるので、分けてご紹介します。

個人事業の場合

個人事業者の場合は、「氏名(または登記された商号)」「住所」「電話番号」が必須記載事項になります。

氏名に関しては、通称や屋号はNGです。戸籍に掲載されている実名を記載してください。住所に関しては、実際に活動している住所を、電話番号は確実につながる番号を記載します。

法人の場合

法人の場合はまず最初に「法人の名称」「住所」「電話番号」が必須記載事項になります。

こちらも個人事業者同様、住所は実際に活動している住所を、電話暗号は確実に連絡が取れる番号を記載します。

ホームページに広告を出す場合の責任者の氏名(法人の場合)

法人が、インターネット上に広告を掲載する場合などは、上記の必須記載事項に加えて、その法人の代表者または通信販売事業責任者の氏名を記載する必要があります。

申し込みの有効期限について

申し込みの有効期限とは、申し込みがあってから一定期間入金や案内への返信がない場合、事業者側が申し込みをキャンセルできる期限のことを言います。

例えば、「お申し込みをいただいてから〇日以内にご入金が確認できない場合、当該申し込み内容がキャンセルされたものとみなします」のように記載するのが一般的です。

その他、期間限定で商品を提供している場合に、その申し込みの期限を記載する場合もあります。

販売価格、送料以外に別途費用がかかる場合はその内容と金額

例えば商品を配送する際の「梱包費」のように、商品自体の代金や送料以外に別途費用がかかる場合は、その金額を”具体的に”記載する必要があります。

そのため、「梱包費は別途負担」のように具体的な金額を記載していないものに関しては、不適切な表示とみなされるので注意が必要です。

商品に瑕疵(かし=隠れた欠陥)があった場合の対応内容

通信販売ではクーリングオフが認められていませんが、もちろん商品に欠陥がある場合は話が別です。瑕疵とは、一般的な注意力では発見できない商品の欠陥のことをいいます。

このような瑕疵があった場合の対応についても記載することが必要となります。

また、特定商取引法の目的として、立場の弱い消費者の利益を守るというものがあります。よって、事業者は瑕疵に関する責任を一切負わない旨などの事業者に一方的に有利な記載は無効となります。

ソフトウェアに関する商品の場合、その動作環境

ソフトウェアは基本的に、それを実行するOSや動作環境があって初めて機能するものです。

よって、このようなソフトウェアに関する取引では広告に「利用可能なOS」「必要なCPU」「メモリの容量」「HDの空き容量」など、ソフトウェアを動かすに十分な動作環境を記載することが必要になります。

商品の販売数量、販売条件の内容

商品によっては販売数量に限りがあったり、販売に条件がある場合もあるでしょう。そのような場合は、それぞれ「販売数量」や「販売条件」を具体的に記載します。

なお、これらの条件が記載されていない場合、原則として「いつでも広告に表示された条件で商品を購入できる」とみなされます。

カタログなど広告以外の書類請求に費用がかかる場合はその金額

人によっては、より詳しく商品の詳細を検討してから購入したいと考える人もいます。そのような場合に行うのが「資料請求」です。

一般的に資料請求は無料というイメージがありますが、中には資料請求や見積もりに費用が発生することもあります。

このように商品以外の請求に対して費用がかかる場合は、あらかじめ広告にかかる費用を記載することが必要となります。

電子メールで広告を送る場合は、事業者のメールアドレス

消費者に広告メールを送る場合は、広告にあらかじめ事業者のメールアドレスを記載する必要があります。

また、広告メールを送るためには、必ず事前に相手から「広告メールを受け取る旨」を表明してもらわなければなりません。

広告メールを送る際のルールに関しては「メルマガ初心者のための「特定電子メール法」まとめ」で詳しく解説しているので、合わせて一読しておくとよいでしょう。

特定商取引法によって禁止されている通信販売の広告記載事項

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一般的な営業手法に比べて、広告による影響が非常に大きい通信販売では、特定商取引法によって広告に記載”してはいけない内容”についても定められています。

特にトラブルの原因になりやすいのが、誇大広告についてです。

具体的には、以下の4つの事項に関して著しく事実と異なる表示をしている広告を「誇大広告」と言います。

  1. 商品の品質、性能、内容に関する事項
  2. 商品の原産地、製造地、製造者に関する事項
  3. 国、地方公共団体、著名人などの関与に関する事項
  4. 前述した「広告の必須記載事項」に関する事項

当然、誇大広告は不適切な表示となるので、十分に注意が必要です。

商品の申し込み時に起こりがちなトラブルを避ける2つのポイント

リスト チェック

通信販売で最もありがちなトラブルが「消費者が意図しないうちに勝手に申し込みが完了していた」というものです。

そこで特定商取引法では、このような申し込みを「顧客の意図に反して申し込みを行わせようとする行為」として禁止しています。

このようなトラブルを避けるためには、以下の2つのポイントを押さえることが大切です。

  • 消費者が「この画面は申し込み画面だ」と、簡単に判断できるようにすること
  • 申し込みに対して、確認や訂正を行う機会を与えること

例えば、Amazonで商品を購入する場合、商品の申し込みをした後に「この内容で間違いないですか?」という確認画面が表示されます。

事業者は、このような「消費者が意図しない申し込み」を行ってしまうことを防ぐ対策を講じる必要があるのです。

前払式通信販売の際に義務付けられている通知義務について

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通信販売を行う際に、事前に代金をもらってから商品を提供することを「前払通信販売」と言います。

この前払方式では、消費者が支払った代金が間違いなく事業者に渡っているかを確認する手段がなく、消費者が不安を感じる原因にもなります。

そこで、特定商取引法では、事業者が代金の全額、または一部を受け取った時点で、その申し込みを受諾するかどうかを消費者に通知することが義務付けられています。

具体的には以下の6つの項目についての通知が必要となります。

  1. 申し込みを受諾するかどうか
  2. 事業者の氏名、住所、電話番号
  3. 受け取った金額
  4. 代金を受け取った日
  5. 申し込み内容
  6. 商品の引き渡し時期

また、この通知は代金を受け取った時点で「遅滞なく」消費者に通知しなければなりません。郵便の場合は3〜4日、メールの場合は1〜2日が目安です。

通信販売を行う際に知ってくべき特定商取引法のまとめ

通信販売 特定商取引法 サムネイル


ここであたらめて、「通信販売を行う際に知っておくべき特定商取引法のポイント」をざっくりおさらいします。
  • 通信販売を行う場合は、広告に必須記載事項を掲載する必要がある。
  • 通信販売には、クーリングオフ制度は適用されない。
  • 前払式通信販売では、定められた内容を消費者に通知することが義務付けられている。

人によっては買い物の大半を通信販売で行うという人もいるのが現代です。つまり、あなたの事業をより大きくしていくなら、通信販売はぜひとも使いたい営業手法ですよね。

特定商取引法で定められた通信販売の規制の多くは、広告の内容についてです。消費者に安心して買い物をしてもらうためにも、定められた必須記載事項はもれなく掲載しましょう。

特定商取引法の全体像や、通信販売以外の営業手法に関する特定商取引法のポイントについては、「事業者、営業マン必見!5分で分かる「特定商取引に関する法律」」の記事をご覧ください。

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