エステ、塾運営者のための日本一わかりやすい特定商取引法【特定継続的役務提供編】

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

いきなり「特定継続的役務提供契約」について学びましょうと言われても、「は?なにそれ?」って思いますよね。

でも、エステや学習塾に通う際の契約のことですよといったら、「なるほど!」となるのではないでしょうか?

継続を前提とした契約であるという点で、他の特定商取引では定められていない規制などもあるため、多少ややこしいかもしれません。

ただし、その性質上、トラブルの起こりやすい取引でもあるため、今のうちにしっかりと特定継続的役務提供のルールについて学んでおくべきです。



特定継続的役務とは

エステ 美容

特定商取引法の中でよく出てくる「役務」という言葉はサービスのことを指す専門用語です。つまり、特定継続的役務とは、一定の期間に渡って継続して行われるサービスのことをいいます。

特定商取引法では、以下の3つの項目を満たしたサービスのことを「特定継続的役務」と定めています。

  1. 役務の提供を受ける人の体の美化、知識・技能の向上、その他その人の心身や身上に関する目的を実現させることをもって誘引が行われるもの
  2. 有償の役務であること
  3. その目的が実現するかどうか定かではないもの

これらの項目を満たしたサービスが継続的役務に該当します。ただし、その他「サービスの提供が2ヶ月以上であること(エステのみ1ヶ月以上であること)」、「支払金の総額が5万円を超えるもの」という条件があります。

現在では主に以下の7つのサービスが「特定継続的役務」とされています。

  1. エステティックサロン
  2. 美容医療
  3. 語学教室
  4. 学習塾※1
  5. 家庭教師※1、※2
  6. パソコン教室
  7. 結婚相手紹介サービス

※1、浪人生のみを対象としたコースは対象外

※2、小学生以上の受講を対象としたものに限る。(小学校、幼稚園の入学のためのサービスは対象外)

特定商取引法が義務付けている特定継続的役務提供契約のルール

ルール 規約


特定継続的役務提供に関わる勧誘、契約の際に、事業者は必ず書面を交付することを特定商取引では義務付けています。

契約前に事前に消費者に交付する書面を「概要書面」、契約時に交付する書面を「契約書面」と言います。

これらの書面に関しては、8ポイント以上の大きさで記載しなければなりません。加えて、特に重要な部分に関しては赤枠の中に赤文字で記載する必要があります。

「概要書面」、「契約書面」では、それぞれ以下の内容が必須記載事項となっています。

概要書面に必要な記載事項

  1. 事業者の氏名(名称)、住所、電話番号、代表者氏名(法人の場合)
  2. 役務の内容
  3. 購入が必要な商品がある場合、その商品名、種類、数量
  4. サービスの対価、その他支払いが必要な金額の概算額
  5. 上記の金額の支払い時期、方法
  6. 役務の提供期間
  7. クーリング・オフに関する事項
  8. 中途解約に関する事項
  9. 割賦販売法に基づく抗弁権の接続に関する事項
  10. 前受金の保全に関する事項
  11. 特約があれば、その内容

契約書面に必要な記載事項

  1. 役務の内容(サービスを受けるにあたって必要な商品があれば、その商品名)
  2. 役務の対価、その他消費者が支払う金額
  3. 金銭の支払い時期、方法
  4. 役務の提供期間
  5. クーリング・オフに関する事項
  6. 中途解約に関する事項
  7. 事業者の氏名(名称)、住所、電話番号、代表者氏名(法人の場合)
  8. 契約締結担当者の氏名
  9. 契約締結の年月日
  10. 役務の提供にあたって購入が必要な商品があれば、その種類、数量
  11. 割賦販売法に基づく抗弁権の接続に関する事項
  12. 前受金の保全措置の有無、その内容
  13. 役務の提供にあたって購入が必要な商品があれば、その商品を販売する業者の氏名(名称)、住所、電話番号、代表者氏名法人の場合)
  14. 特約があれば、その内容

特定商取引法によって定められている特定継続的役務提供の禁止、規制事項

エステ、塾運営者のための日本一わかりやすい特定商取引法【特定継続的役務提供編】

特定商取引法では、上記のように書面の交付義務だけではなく、取引・勧誘の際に「やってはいけないこと」についても定められています。

これらの禁止行為を行うと罰金や業務停止命令などの対象になることもあるので、絶対に行ってはいけません。

広告規制

例えば、短期間でダイエットに成功したことを伝えるものや、多くの塾生が志望校に合格していることを伝えるものなど、この手の業界では、広告のイメージが客数や売上に大きな影響を与えることになります。

そのため、消費者に著しく誤解をもたらしかねない広告を掲載することは禁止されています。

例えば以前、河合塾のこの広告が「事実と異なる印象を与える」として問題となりました。

河合塾 広告 おかしい

一見、順調に東京大学の合格者が増えているように見えますが、よく見ると2016年の合格者が2015年よりも少ないことに気がつきますよね。

このような広告は誇大広告として規制の対象となります。

また、実際はその商品を利用いていないにも関わらず、有名人を広告に起用し「〇〇さんも使っている」といった事実と異なる内容を広告に使うことも「不実の告知」に当たるので、やってはいけません。

勧誘行為規制

特定継続的役務提供では広告ではなく、事業者などから直接勧誘を受けることもあります。そのような際に不当な勧誘にならないように定められたルールを「勧誘行為規制」といいます。

勧誘をする際に規制されている内容は、「不実の告知」、「故意の事実・重要事項の不告知」「強迫行為」の3つです。

  • 不実の告知とは、「事実と異なる内容を伝えて契約を取ろう」とすること。
  • 故意の事実・重要事項の不告知とは、「契約の際に不利になる内容や購入の意思決定を左右する重要な内容について、故意に伝えない」こと。
  • 強迫行為とは、「相手に恐怖心や不安感を与える言動を用いて、相手の意思を無視して契約をさせようとする行為」のこと。

これらの行為は全て特定商取引法によって禁止されています。また、これらの禁止行為は契約時だけではなく、その後のサービス提供、契約解除等の際にも用いてはいけません。

特定商取引法の適用外となる場合

範囲外 チェス

中には、特定継続的役務提供について、以下の用意特定商取引法の適用外となるケースもあります。

  • 購入者が事業者の場合
  • 海外との取引の場合
  • 国・地方考古湯団体が特定継続的役務の提供を行う場合
  • 特定の団体、労働組合が、従業員に対してサービスを提供する場合

これらの条件で特定継続的役務提供を行う場合は、特定商取引法の提供街となります。

特定継続的役務提供契約のクーリング・オフについて

サポート クレジット

特定継続的役務提供の場合、契約書面を受け取った日を含む8日間はクーリング・オフの権利が認められています。

また、特定継続的役務提供の場合は契約の際に、サービスを受けるのに必要な関連商品を購入していることも多いため、定められた関連商品に関しても、クーリング・オフでの契約解除が認められています。(関連商品に関しては後述します。)

ただし、使用・消耗によって返品が不可能なものに関しては、一部クーリング・オフが認められないこともあります。

特定継続的役務の関連商品

特定継続的役務の提供を受ける際に、消費者が購入する必要がある商品として政令で定められた商品のことを「関連商品」と言います。

・エステ:健康食品、化粧品・石けん・浴用剤、下着類・美顔器・脱毛器

・美容医療:健康食品、化粧品、マウスピース・歯牙の漂白剤、美容を目的とした医薬品または医薬部外品

・塾、教室、家庭教師:書籍・教材、カセット・テープ、CD、DVDなど、ファックス・テレビ電話

・結婚相手相談サービス:真珠・貴石・半貴石、指輪その他の装身具

クーリング・オフをする際は、これらの関連商品に関しても品物を返品することで、購入費を返金してもらうことができます。

ただし、健康食品や化粧品などの消耗品に関しては、使用・消耗によって返品が不可能な場合、クーリング・オフができないので注意が必要です。

特定継続的役務提供契約の中途解約について

別れ 飛行機 途中

特定商取引法では、特定継続的役務提供の契約を行い8日間が過ぎた後でも、一定の賠償金を支払うことで契約を解除することが認められています。(=中途解約。)

よって、契約書に「中途解約はできない」という旨の記載があっても、その契約は無効であると判断されます。

また、中には契約解除に莫大な賠償金を必要とする旨の内容が契約書に記載されている場合もありますが、各サービスごとに定められている上限以上の賠償金を請求する内容は全て無効です。

中途解約をする場合、後から「言った言わない」の水掛け論になることも考えられるので、しっかりと書面に残しておくようにするのが望ましいとされています。

特定継続的役務を中途解約する際のお金のやりとりは?

中途解約をした場合、事業者から消費者へ、消費者から事業者へそれぞれ一定の金額を支払う必要があります。

返金額の計算方法や、賠償金の上限額などが細かく定められているため、1つ1つ確認していきましょう。

中途解約の際に事業者から消費者に支払うお金

まず最初に、中途解約をした場合に事業者が消費者に返還する必要のあるお金について見ていきましょう。

中途解約に応じた場合、事業者は消費者に「受け取った金額からこれまでにサービスを提供してきた分を引いた額」を返還しなければなりません。

例えば、6ヶ月で30万円のサービスがあったとしましょう。30万を6ヶ月で割ると、1ヶ月あたり5万円です。

消費者が4ヶ月間のエステサービスを受けた後に中途解約を申し出た場合、すでにサービスを提供した4ヶ月分の代金は返す必要がないので、残りの10万円を返す必要があるということになります。(30万円-4ヶ月×5万円=10万円)

ただし、サービスとは別の名目で請求された入学費、入会費などに関しては、この保証には含まれていないため、原則返金の必要はありません。

中途解約の際に消費者から事業者へ支払うお金

一方で、中途解約をする場合、消費者から事業者へ支払う必要のあるお金というものもあります。いわゆる賠償金ですね。

ただし、賠償金の額についてはそれぞれのサービス内容ごとに上限が決められているため、例えば契約書に「賠償金として100万円を支払ってもらいます」といった内容が書かれていても、その内容に従う必要はないのです。

では、具体的な賠償金の上限について見ていきましょう。

まずは、サービスを受ける前に中途解約をする場合の賠償額がこちら。

スクリーンショット 2018 05 09 17 22 15

特定商取引法ガイドより)

次に、すでに何回かサービスを受けた後に中途解約する場合の賠償額がこちら。

スクリーンショット 2018 05 09 17 22 26

特定商取引法ガイドより)

例えば、30万円で6ヶ月コースのエステを4ヶ月で中途解約の申し出があった場合、2万円または契約残額の10%に相当する額のうち低い額が賠償金の上限となります。

この例では、2万円と契約残額10万円の10%である1万円とを比べて低い額、つまり1万円が賠償金の請求額上限となります。

特定継続的役務提供を行う際に知っておくべき特定商取引法のまとめ

特定継続的役務提供 特定商取引法 サムネイル

最後に改めて「特定継続的役務提供を行う際に知っておくべき特定商取引法のポイント」をまとめておきます。

  • 勧誘、契約をする際には、それぞれ必要事項を記載した「概要書面」と「契約書面」を交付する必要がある。
  • 特定継続的役務提供契約では、そのサービスを受けるのに必要な「関連商品」というものが定められている。クーリング・オフの際などに必要な知識なので、自分の購入した商品が「関連商品かどうか」はチェックしておこう。
  • 特定継続的役務の中途解約時に発生する賠償額は、サービスごとに上限が決まっている。その額以上の賠償金請求は無効。

特定商取引が定める特定継続的役務提供のルールの多くは、ほかの特定商取引の規制と大きな違いはありません。

ただし、中途解約の際の「返金額の計算方法」や「賠償金上限」などは、各サービスごとに細かく定められているので、確実に押さえておきたいポイントと言えます。

そもそも特定継続的役務提供契約自体が、効果を保障したものではないため、特にトラブルが起きやすい取引の種類です。

無用なトラブルを避けるためにも、特に念入りに特定商取引法に則った活動を心がけるべきでしょう。

特定商取引法の全体像や、特定継続的役務提供以外の営業手法に関する特定商取引法のポイントについては、「事業者、営業マン必見!5分で分かる「特定商取引に関する法律」」の記事をご覧ください。

  • このエントリーをはてなブックマークに追加