営業マンのための日本一わかりやすい特定商取引法【電話勧誘販売編】

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わざわざお客さんの家まで訪問する必要もなく、低コストでできる営業手法。それが、「電話営業」です。

正式には「電話勧誘販売」という名称であり、特定商取引法という法律によっていくつかのルールが定められています。

僕の元にもたまに電話による勧誘がくるのですが、意外と「特定商取引法」に違反している営業マンが多いように感じます。

お客さんとの無用なトラブルを避け、信用できる事業者であることを理解してもらうためにも、この機会に電話勧誘販売を行う際に必ず知っておくべき特定商取引法のルールを再確認しておきましょう。



電話勧誘販売とは

電話 営業

電話勧誘販売とは、事業者が消費者に事前の連絡なく電話をかけて、商品を売り込み、消費者が電話やファックス、メールといった通信手段で申し込む販売方法のことを言います。

以下の3つの項目を満たす電話勧誘販売に対して、特定商取引法は効力を発揮します。

  1. 販売業者や代理業者が電話をかける、またはダイレクトメールやファックスで販売目的を隠して電話をするように促すなどして、消費者に電話をかけさせる。
  2. 電話で契約の勧誘を行う。
  3. 顧客から郵便等で契約の申込みを受け、商品・特定権利の販売・サービスの提供を行う。

1つ目の項目がややこしいですが、要は事業者から消費者に対してかけた電話を一旦切った後に、改めて消費者から電話などで商品の申し込みを行なった場合も、最初の電話が商品購入に意思決定に関係していることから「電話勧誘販売」とみなされるということですね。

電話勧誘販売も特定商取引の1つに該当するので、8日間のクーリング・オフ期間が設けられています。

電話勧誘販売を行う際に特定商取引法によって義務付けられていること

法律 立法

上記の条件を満たす電話勧誘販売を行う場合は、以下の行為を行うことが特定商取引法によって義務付けられています。

氏名・商品名・勧誘目的であることの通知

当然ですが、消費者に事前の告知なくいきなり電話をかける場合、消費者はあなたのことを知らない状態です。

そのため「特定商取引法」では、電話勧誘販売を行う場合に氏名などを伝えることを義務付けています。

具体的に明示が義務付けられている内容は以下の4項目です。

  • 事業者の氏名、名称
  • 勧誘を行う者の氏名
  • 商品やサービスの種類
  • 勧誘が目的であること

電話勧誘販売を行う際は、商品を勧める前に必ず「初めまして、私は〇〇会社の〇〇というものです。今日は〇〇という商品をご紹介させていただくために、お電話いたしました」と伝えることを忘れないようにしましょう。

法令、省令で定められた事項が記載された書類の交付義務

特定商取引法では、電話勧誘販売によって商品の申し込みがあった場合、事業者は法令や省令によって定められた事項が記載された書類を遅滞なく(一般的に3〜4日以内)消費者に渡すことが義務付けられています。

なお、法令や省令によって定められた事項とは、以下の10項目のことを言います。つまり、以下の項目を網羅した書類を消費者に渡す必要があるということです。

法令及び省令によって定められた事項内容一覧

  1. 商品の代金の金額、支払い時期、支払い方法
  2. 商品の引き渡しの時期
  3. クーリング・オフについての記載
  4. 事業者の連絡先と代表者の氏名
  5. 販売担当者の氏名
  6. 契約の申込み・締結時の年月日
  7. 商品名、商品の内容
  8. 商品の数量
  9. 返品条件等、契約解除に関する事項
  10. 特約がある場合は特約の内容

以上の内容に加えて、「内容をしっかりと読むべき」という内容を赤枠の中に赤文字で記載する必要があり、なおかつ書類の文字については8ポイント以上の大きさである必要があります。

法令及び省令によって記載することが禁止されている内容一覧

特定商取引法では、前述した「書類に記載すべき内容」の他に、「書類に記載”してはいけない”内容」についても定められています。

下記に記載する内容は、書類に記載してはいけません。

  1. 販売業者が商品の瑕疵担保責任を追わない旨の規定(不良品でも返品等は受け付けませんという内容)
  2. 消費者からの契約の解除ができない旨の規定
  3. 事業者の都合による契約解除の際に、消費者が民法の定めよりも不利になる規定
  4. その他法令に違反する特約

これらの内容は全て、事業者側が有利になる内容であり、法知識において弱い立場にある消費者の権利を守るという特定商取引法の目的に反するため、記載することが禁止されています。

前払い式の場合の承諾などの通知義務

消費者が先に代金を支払い、購入した商品やサービスが後から提供される電話販売のことを、「前払式電話勧誘販売」と言います。

前払式電話勧誘販売では、代金を支払った後にしっかりと商品やサービスが提供されるかどうか消費者が不安になる状況が起こりやすくなります。

そこで、前払式の電話勧誘販売をする際、事業者は消費者からの申し込みを受諾するかどうかを記載した通知をすることが特定商取引法によって義務付けられているのです。

こちらの通知書に関しても、8ポイント以上の大きさの文字で記載します。

申し込みを受諾する場合の措置

消費者からの申し込みを事業者が受諾する場合は、以下の内容を記載した通知書を消費者に渡す必要があります。

  • 申し込みを受諾する旨の内容
  • 商品の引き渡し時期

申し込みを拒否する場合の措置

なんらかの事情によって、消費者からの申し込みを拒否する場合は、以下の内容を記載した通知書を消費者に渡す必要があります。

  • 申し込みを拒否する旨の内容
  • 返金の意思表示
  • 返金方法

申し込みの受諾、拒否にかかわらず、記載する必要のある内容

前払式の電話勧誘販売を行う場合、申し込みを受諾するしないにかかわらず、以下の内容も通知書に記載する必要があります。

  • 事業者名、連絡先
  • 受領済み金額
  • 受領日
  • 申し込みを受けた商品名及び数量

特定商取引法が定める電話勧誘販売の際の禁止事項

忠告 禁止 警告

特定商取引法では、電話勧誘販売を行う際に「やってはいけないこと」についての定めもあります。

この禁止事項を破ると法律違反となるため、電話勧誘販売を行う前に必ず確認して、遵守することが必要不可欠です。

再勧誘の禁止

電話勧誘販売では、相手が営業を拒否したり、商品を購入しない旨の意思を伝えたにもかかわらず、同一商品の勧誘を続けたり、時間をおいて再度勧誘を行うことを禁止しています。

つまり、一度断られた相手に対し、同じ商品を勧めることは法律違反ということです。

ただし、時間が経って相手の方からその商品を購入したい旨を伝えられた場合や、別の商品を勧めることは認められています。

不実の告知や故意に事実を告げない行為の禁止

不実の告知とは、商品に関して「事実とは異なることを告げる行為」のことを言います。また、故意に事実を告げない行為とは、「商品販売に関して不利になることを故意に隠す行為」のことを言います。

これらの行為は、消費者が「正しい意思決定を行うことを妨害する行為」として、固く禁止されています。

これらの禁止行為の上に締結した契約について、消費者は自由に契約解除をすることができます。ウソやごまかしはせずに、真っ当に営業をしましょうということですね。

強迫行為等の禁止

相手に恐怖心や不安を与える言動を用いて、商品の契約を強引に行うことも当然禁止されています。

また、商品の購入だけではなく、脅迫によって一方的に不利な条件で契約をさせることや、クーリング・オフを妨害することもNGです。

特定商取引法の適用範囲外となる電話勧誘販売もある

営業マンのための日本一わかりやすい特定商取引法【電話勧誘販売編】

電話勧誘販売は基本的には特定商取引法に基づいて行われますが、一部例外的に特定商取引法の”適用範囲外”になる場合もあります。

特定商取引法は、取引に慣れていない消費者を保護する目的で作られたものであるため、事業者間同士での取引などに関しては適用されないのです。

以下のような状況では、特定商取引法の適用範囲外となるので注意が必要です。

  • 事業者間での取引
  • 組織内部の取引
  • 海外との取引
  • 国や地方公共団体が行う取引
  • その他、別の法律によって保護されている取引

電話勧誘販売を行う際に知っておくべき特定商取引法のまとめ

電話勧誘販売 特定商取引法 サムネイル

最後に「電話勧誘販売を行う際に知っておくべき特定商取引法のポイント」を整理しておきましょう。

  • 営業の前に「氏名」「商品名」「勧誘目的であること」を明示する必要がある。
  • 申し込みがあったら、すぐさま「法令、省令で定められた事項が記載された書類」を交付する必要がある。(記載が禁止されている内容についても確認すること。)
  • 前払式の電話勧誘販売を行う際は、「承諾するかどうかを伝える通知」を行う必要がある。

電話を使った勧誘販売は、事業者にとって低コストで多くの人にアプローチできる有用な営業手法と言えます。

しかし、基本的に電話など間接的な関係のまま契約に至ることが多いことから、トラブルなどに発展しやすい営業手法であるのも事実です。

無用なトラブルを避けるためにも、電話勧誘販売を行う際は、事業者自身が徹底するのはもちろん、営業担当の人に対しても徹底して特定商取引法を守るように指示をするべきでしょう。

特定商取引法を遵守した営業を行えば、あなたの会社の売り上げが上がることはもちろん、顧客から「あの会社は信用できる」という評判も勝ち取ることができるはずです!

特定商取引法の全体像や、電話勧誘販売以外の営業手法に関する特定商取引法のポイントについては、「事業者、営業マン必見!5分で分かる「特定商取引に関する法律」」の記事をご覧ください。

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