ネットワーカーのための日本一わかりやすい特定商取引法【連鎖販売取引編】

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様々なビジネス手法の中でも、最近特に”悪名高い”のがマルチやネットワークビジネスといった「連鎖販売取引」なのではないでしょうか?

もちろん、連鎖販売取引の前身である「ネズミ講」というマイナスイメージもありますが、それ以上に法律を無視した強引な勧誘を行う人が一定数いることが、連鎖販売取引自体のマイナスイメージに繋がっています。

連鎖販売取引の組織を運営する人はもちろん、自分も会員となって勧誘活動を行っている人は、必ずこの記事を読んで「連鎖販売取引を行う際に知っておくべき特定商取引法のポイント」を確実に押さえておく必要があります。



連鎖販売取引とは

チーム 組織 ネットワークビジネス

連鎖販売取引とは、個人を販売員として勧誘し、その販売員がさらに次の販売員を勧誘することによって、組織を拡大しながら連鎖的に販売、勧誘を行う取引のことを言います。

例えば、マルチ商法やネットワークビジネスが、この連鎖販売取引の代表的なビジネスモデルとして有名です。

具体的には、以下の4つの要件を満たしたものが連鎖販売取引とみなされます。

1、商品、権利、有料サービスの販売・提供

商品や権利、有料サービスなどの販売・提供を行うことが連鎖販売条件の主な要件となります。

詳しくは後述しますが、このような実態を伴う商品の販売等がない連鎖販売のことを「ネズミ講」といい、こちらは「無限連鎖講の防止に関する法律」によって禁止されています。

ただし、いくら商品等の販売実態があるとしても、その商品価格が商品の価値や市場に出回っている類似した商品に比べて、高額すぎる場合は違法となります。

2、再販売、受託販売のあっせんする人の勧誘

再販売とは、元から商品を別の人に売る目的で購入し、第三者にその商品を販売することを言います。

受託販売は、商品の所有者から委託を受けて商品を販売することを言います。

このような再販売、受託販売のあっせんをする人を勧誘するシステムがあることが、連鎖販売取引の1つの構成要素となっています。

3、特定利益の発生

特定利益とは、個人が販売員となって他の人に商品の購入を勧めたり、あっせんすることで、得られる利益のことを言います。

また、連鎖販売取引の仕組みによっては、自分が紹介した人や自分の下に位置する組織の人が発生させた売り上げの一部を自分も得られる場合もありますが、このような利益も特定利益に含まれます。

わかりやすく言えば、自分や自分の組織の下の人間が商品を販売したことで得られるリベートが特定利益です。

このような特定利益が発生することも、連鎖販売取引の特徴です。

4、特定負担の発生

特定負担とは、商品の購入や再販売、受託販売の権利を獲得するためなどの支払う必要のある金銭的負担のことを言います。

例えば、組織によっては、入会時に「最初に再販売用の商品10万円分を購入してください」と言われることがありますが、このような費用が特定負担です。

以前は2万円以下の特定負担であれば、「連鎖販売取引」に当たらないとされていましたが、現在では1円でも特定負担が発生するのであれば「連鎖販売取引」とみなされます。

マルチ(連鎖販売取引)って違法じゃないの?

違法 法律 ネット

世間的に、マルチやネットワークビジネスといった連鎖販売取引は「悪徳商法」というイメージが強いです。そもそも「マルチって違法じゃないの?」と思っている人も多いはず。

結論から言うと、マルチやネットワークビジネスは、特定商取引の連鎖販売取引で認められている合法の取引手法です。ただし、マルチの前身として流行った「ネズミ講」は違法です。

マルチとネズミ講の大きな違いは、「商品販売の実態」があるかどうかです。ネズミ講は前述した「連鎖販売取引の要因」の1つ目、つまり、商品や権利、サービスの販売・提供の実態がないのです。

よって、ネズミ講は「無限連鎖講の防止に関する法律」で禁止されている一方、マルチ(連鎖販売取引)に関しては禁止ではなく、特定商取引法による規制という措置を講じています。

余談ですが、例えば1人が5人を紹介するネズミ講では、たった12階層目で3億人以上の会員が必要になる。当然、日本人口を大きく上回るため、予想以上に早く破綻することがわかりますね。

特定商取引法が義務付けている連鎖販売取引時のルール

連鎖 ルール

ここからは具体的に連鎖販売取引をする際に、特定商取引法で義務付けられている内容について見ていきます。

なお、連鎖販売取引では、役割に対してそれぞれ以下のような名称が用いられます。

  • 統括者:連鎖販売業を実質的に統括する者
  • 勧誘者:統括者が連鎖販売取引の勧誘を行わせる者
  • 一般連鎖販売業者:統括者、勧誘者以外の連鎖販売を行う者

書面交付義務

連鎖販売取引を行う際は、必ず「概要書面」「契約書面」という2つの書類を交付することが義務付けられています。

「概要書面」は契約締結前に、「契約書面」は契約締結後に遅滞なく交付しなければなりません。

また、これらの書面には「書面の内容をよく読む旨」と「クーリング・オフの事項」を赤枠の中に赤字で記載する必要があります。さらに、文字は8ポイント以上の大きさでなければなりません。

概要書面の必須記載事項

「概要書面」は、契約を締結する前に消費者(会員)に内容を説明するための書面です。

「概要書面」は、以下の10項目を記載することが特定商取引法で定められています。

  1. 統括者の氏名(名称)、住所、電話番号、代表者氏名(法人の場合)
  2. 勧誘者、一般連鎖販売業者が、連鎖販売行を行う場合は、その者の氏名(名称)、住所、電話番号、代表者氏名(法人の場合)
  3. 商品の種類、性能、品質に関する重要事項
  4. 商品名
  5. 商品の販売価格、引き渡し時期、販売条件に関する重要事項
  6. 特定利益に関する事項
  7. 特定負担の内容
  8. 契約の解除条件、その他契約に関する事項
  9. 割賦販売法に基づく抗弁権の接続に関する事項※1
  10. 禁止行為に関する事項※2

※1、割賦とは分割払いのこと。

割賦販売法に基づく抗弁権とは、クレジット会社など第三者を挟んだ契約を行った場合でも、消費者と事業者との間でトラブルがあり、契約が正当に履行されない場合、消費者はその内容(抗弁事由)を伝えることで、クレジット会社からの請求を拒否できる権利のこと。

※2、特定商取引法が禁止している内容は以下の通り。

特定商取引法は、統括者または勧誘者が契約の締結についての勧誘を行う際、取引の相手方に契約を解除させないようにするために嘘をつくことや威迫して困惑させるなどの不当な行為を禁止しております。具体的には以下のようなことが禁じられています。

1、勧誘の際、または契約の締結後、その解除を妨げるために、商品の品質・性能など、特定利益、特定負担、契約解除の条件、そのほかの重要事項について事実を告げないこと、あるいは事実と違うことを告げること。

2、勧誘の際、または契約の締結後、その解除を妨げるために、相手方を威迫して困惑させること。

3、勧誘目的を告げない誘引方法(いわゆるキャッチセールスやアポイントメントセールスと同様の方法)によって誘った消費者に対して、公衆の出入りする場所以外の場所で、特定負担を伴う取引についての契約の締結について勧誘を行うこと。

特定商取引法ガイドより引用)

契約書面の必死記載事項

「契約書面」は、消費者(会員)と契約を締結する際に事業者が交付する書面です。その特性上、「概要書面」よりもより詳細を内容を記載することが定められています。

「契約書面」に記載が必要な内容は以下の12項目です。

  1. 商品の種類、性能、品質に関する事項
  2. 商品の再販売、受託販売、販売のあっせん等、販売方法に関する事項
  3. 特定負担に関する事項
  4. 連鎖販売契約の解除(クーリング・オフ等)に関する事項
  5. 統括者の氏名(名称)、住所、電話番号、代表者氏名(法人の場合)
  6. 勧誘者、一般連鎖販売業者が、連鎖販売行を行う場合は、その者の氏名(名称)、住所、電話番号、代表者氏名(法人の場合)
  7. 契約年月日
  8. 商標、商号その他特定の表示に関する事項
  9. 特定利益に関する事項
  10. 特定負担以外の義務がある場合は、その内容
  11. 割賦販売法に基づく抗弁権の接続に関する事項※1
  12. 禁止行為に関する事項※2

広告の必要記載事項

連鎖販売取引に関する広告を場合、特定商取引法によって定められた事項を記載する必要があります。

定められた事項とは以下の7項目です。

  1. 販売商品、権利、サービスの種類
  2. 特定負担に関する事項
  3. 特定利益の計算方法
  4. 統括者、勧誘者の氏名、住所、電話番号
  5. 法人がネット上に広告を出す場合、統括者または連鎖販売業務責任者の氏名
  6. 商品名
  7. メールで広告を送る場合は、統括者・勧誘者・一般連鎖販売業者のメールアドレス

ただし、メールを利用して広告を送る場合は、事前に「広告メールを受け取る旨」の承諾(オプトイン)を得る必要があります。

広告メールを送るまでの手続きに関しては、「メルマガ初心者のための「特定電子メール法」まとめ」をご覧ください。

氏名、目的等の明示

連鎖販売取引を行う場合は、必ず勧誘に先立って3つの事項を消費者に伝えることが義務付けられています。

  1. 統括者および連鎖販売取引の担当者(勧誘者、一般連鎖販売業者)の名前
  2. 特定負担に伴う取引についての契約の締結について勧誘をする目的である旨
  3. 商品、権利、サービスの種類

特に統括者以外の人物(勧誘者、一般連鎖販売業者)が連鎖販売の勧誘を行う場合、自分自身の氏名に加えて、必ず「統括者の氏名」も告げなければならないことは忘れがちなので、注意が必要です。

特定商取引法が定める連鎖販売取引の禁止事項

拒否 NO

連鎖販売取引には、特定商取引法によって禁止されている行為があります。

以下の項目に該当する禁止事項は連、鎖販売取引を行うに先立って交付が義務付けられている「概要書面」や「契約書面」の必須記載事項にもなっています。

不実の告知、事実の不告知

事実とは異なることを伝えたり、契約を行うにあたって重要な事項を故意に伝えないで契約を行うことは、不実の告知、事実の不告知に該当するため禁止行為と定められています。

連鎖販売取引の勧誘時に「簡単に儲かる」、「確実に稼げる」という言葉を使うことは不実の告知に当たります。

また、儲かった人のエピソードだけを話し、逆に損をした人のエピソードについては触れないといった勧誘方法は、事実の不告知に当たるので注意が必要です。

このような勧誘行為を行なった場合、消費者は騙されたことに気がついてから6ヶ月、あるいは契約締結時から5年間は、契約を取り消すことができます。

誇大広告の禁止

連鎖販売取引に関しての広告を利用する場合、誇大広告にならないようにしなければなりません。

具体的には「著しく事実と異なる表示」や「実物よりも著しく優良もしくは有利であると人を誤認させる表示」が、誇大広告とみなされます。

威迫行為

勧誘時に相手に不安や恐怖感を与えて強制的に契約させることは「威迫行為の禁止」に該当するため、絶対にやってはいけません。

また、契約締結時だけではなく、契約後に契約には書いていないにも関わらず、強引に商品を購入させたり、クーリング・オフを妨害する等の行為もこの威迫行為に当たります。

連鎖販売取引のクーリング・オフについて

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連鎖販売取引では、一般的に広く知られている8日間よりも長い、20日のクーリング・オフ期間があります。

原則として、クーリング・オフの期間は「契約書面」を交付した日を含む20日間です。ただし、勧誘時に必須事項の説明を怠っていたり、書面の内容に不備がある場合は、正しい契約書面を交付するまでは起算日にはなりません。(=クーリング
・オフの20日間に含まれない)

契約の際は、しっかりと契約書面の必須記載事項がもれなく記載されているかを必ず確認しましょう。

クーリング・オフ期間の例外措置

また、契約上、契約書面を交付されてから商品が実際に手元に届くまでにタイムラグがあることも考えられます。

中には、契約後20日が経過してから商品が届いて、「商品を見て解約したくなったけど、もうクーリング・オフの期間を過ぎている…」というトラブルになることもあり得ます。

そこで、商品の受け取りが契約書面の交付よりも後になる場合に限り、商品を受け取った日からの20日間をクーリング・オフの期間となります。

もちろん、クーリング・オフは契約の中途解約などとは異なり、契約自体をなかったことにする制度なので、たとえ契約書面に損賠賠償や違約金の負担、商品の引き取り費用などの条件が書かれている場合も無効となります。

連鎖販売契約の中途解約、返品について

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連鎖販売取引は、クーリング・オフの期間をすぎた後でも、一定の賠償金を支払うことで契約を解除することが可能です。

契約の中途解除、返品には、以下の5つの条件を満たしている必要があります。

  1. 入会してから1年が経過していないこと
  2. 商品を受け取ってから90日が経過していない商品であること
  3. 商品を再販売していないこと
  4. 商品を使用、消費していないこと(ただし、購入前に販売者のいとでその商品を使用、消費させた分は除く)
  5. 自分の責任において商品を滅失、破棄していないこと

また、連鎖販売取引の契約を行った人の中には、やめたいと思っていても契約書に記載されている莫大な違約金や、商品の在庫を抱えて、やめるにやめられないという人もいます。

しかし、特定商取引法では、連鎖販売取引の中途解約時の損害賠償についても規定されており、この規定を超える違約金等の請求は全て無効となるので安心してください。

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特定商取引法ガイドより)

商品が物品の場合は、手持ちの商品を販売者に返還した場合、その額の10%が賠償額の状元となります。ただし、商品を返還しない場合はその商品の全額を支払う必要があります。

例えば、30万円分の商品を購入していた場合、その商品を全て販売者に返品するのであれば、3万円の賠償金を支払えば契約を解除することができるということです。

連鎖販売取引を行う際に知っておくべき特定商取引法のまとめ

連鎖販売 特定商取引法 サムネイル

最後にもう一度「連鎖販売取引を行う際に知っておくべき特定商取引法のポイント」を整理しておきましょう。

  • 連鎖販売(マルチ、ネットワークビジネス等)は違法ではないが、特定商取引法の定めに従う必要がある。
  • 勧誘時、契約時には、それぞれ定められた事項を記載した「概要書面」「契約書面」を交付する義務がある。
  • 連鎖販売取引では、20日間のクーリング・オフ期間が設けられている。

連鎖販売行を行なっている人の多くは、事業者というより勧誘を受けて自らも一般連鎖販売業者として活動しているという側面を持っています。

そのため、事業者が行う営業に比べて、ビジネスリーガルやコンプライアンスの意識が低い場合がどうしても多くなってしまいます。

少し前にも某ネットワークビジネス会社の会員が強引な勧誘をしたとして、行政処分を受けたというニュースが話題になりました。

たとえ、副業のつもりであっても、連鎖販売取引の勧誘を行う以上、あなたは立派な事業者であることを認識しましょう。そして、いち事業者としてこの記事で解説したような基本的な法律は頭に入れてから勧誘活動を行って欲しいと思います。

特定商取引法の全体像や、連鎖販売取引以外の営業手法に関する特定商取引法のポイントについては、「事業者、営業マン必見!5分で分かる「特定商取引に関する法律」」の記事をご覧ください。

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