トラブルを未然に防ぐ日本一わかりやすい特定商取引法【訪問購入編】

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実は特定商取引法では、事業者側が消費者の物品を買い取る「訪問購入」という取引についても定められています。

一般的な販売取引とは立場が逆転するため、より細かい取り決めや訪問購入だけの特殊な規制なども存在します。

よって、訪問購入を行う場合は、より念入りに特定商取引法への理解を深め、行政処分などの処罰を受けないように注意する必要があるでしょう。

とはいえ、一度理解すればそこまで難しい内容はありません。法律だからといって身構えず、リラックスしながら1つ1つ読み進めていきましょう。



訪問購入とは?

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訪問購入とは、「物品の購入業者が営業所以外の場所で行う物品の購入」のことをいいます。

訪問販売が商品を売ることを目的にしているのに対し、訪問購入は消費者が持っている物品を買い取ることを目的にしています。

特定商取引法の規制対象になる前は、業者が突然家に押しかけてきて、相手の所有物を安く買い叩く「押し買い」という方法が問題視されていました。

このような問題をうけて、平成25年の2月から、新たに「訪問購入(押し買い)」に関しての規制が実施されたという背景があります。

訪問購入の対象物

基本的には、どんな物品であってもいきなり家を訪問して物品の購入をすることは「訪問購入」に該当します。

ただし、「物品を手放す側の利益を損なう恐れがないと認められる物品」や「流通が著しく害されるおそれがあると認められる物品」は、政令によって訪問購入の対象外となります。

詳しい対象外の物品に関しては、「特定商取引に関する法律施行令第16条の2で規定する物品の具体例」をご覧ください。

特定商取引法が義務付けている訪問購入時のルール

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特定商取引法では、訪問購入の際にトラブルが起こることを避けるため、いくつかの事項を義務付けています。

これらの義務に違反した場合、業務停止命令や刑事罰の対象となることもあり得るので、十分に注意が必要です。

事業者の氏名等の明示義務

訪問購入をする場合、事業者は勧誘を始める前に、必ず以下の内容を明示する義務があります。

  • 事業者の氏名(名称)
  • 契約の締結について勧誘する目的で訪問した旨
  • 購入しようとしている物品の種類

上記に加えて、加入前の段階で相手に「勧誘を受ける意思があることを確認すること」も、義務付けられています。

また、この氏名等の明示義務に関しては、消費者から物品の買い取りを求めて事業者を招いた場合でも適用されます。

書面の交付義務

訪問購入では、申し込みや契約を締結した際に、必ず特定の内容を記載した書面を相手に交付することが義務付けられています。

なお、申し込みを受けた時は直ちに(=その場で)、契約を締結した場合には遅滞なく(=3〜4日以内が目安)、書面を渡さなければなりません。

書面に記載が必要な内容は、以下の通りです。

  1. 物品の種類
  2. 物品の購入価格
  3. 代金の支払時期、方法
  4. 物品の引渡時期、方法
  5. 契約の解除に関する事項
  6. 物品の引渡しの拒絶に関する事項
  7. 事業者の名前(名称)、住所、電話番号、代表者氏名(法人の場合)
  8. 売買契約の申し込み、締結の担当者氏名
  9. 売買契約の申し込み、締結の年月日
  10. 物品名
  11. 物品の特徴
  12. 物品やその付属品に商標、製造者名、販売者名の記載または型式がある場合には、その商標、製造者名、販売者名、型式
  13. 契約の解除に関する定めがある場合、その内容
  14. 特約がある場合、その内容

これらの内容に加えて、書面の文字は8ポイント以上の大きさで書く必要があります。また、クーリング・オフに関する事項や物品の引渡しの拒絶に関する事項などの重要事項に関しては、赤枠の中に赤文字で記載しなければなりません。

特定商取引法の適用外となる訪問購入の例外

例外 仲間はずれ

以下の条件に該当する訪問購入は、特定商取引法の適用外となるので注意が必要です。

  • 事業者間同士で取引を行う場合
  • 海外との取引の場合
  • 国・地方公共団体が訪問購入を行う場合
  • 特定の団体、労働組合が、従業員に対して訪問購入を行う場合
  • 売主が自宅での契約などを請求した取引
  • 御用聞き取引の場合(事業者が定期的に住居を巡回して売買する取引)
  • 常連取引の場合(前1年間に、店舗のある事業者であれば1回以上、店舗のない事業者であれば2回以上の取引実績がある相手と売買する取引)

特定商取引法で禁止されている訪問購入時の禁止、規制事項

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訪問購入を行うにあたって、特定商取引法では消費者の権利を守るためにいくつかの禁止事項を設けています。

当然、この禁止事項を無視した勧誘は法律違反です。行政指導や刑罰の対象になることもあるため、絶対にやってはいけません。

不招請(ふしょうせい)勧誘の禁止

あまり聞きなれない言葉ですが、訪問購入をする際は「不招請勧誘」というものを行ってはいけないことになっています。

不招請勧誘とは、「相手からの要請がないにも関わらず、相手の自宅等に訪問して物品の販売を求める」行為をいいます。よって、事前のアポイントなく、一方的に家に押しかけて物品の販売を迫る行為は「不招請勧誘」にあたるため禁止されているのです。

つまり、訪問購入は原則として、売主からの要請があって初めて可能となります。

また、「査定だけしてほしい」という要請で事業者が相手の自宅に訪れ、その際に買取の勧誘をすることも「不招請勧誘」にあたるとされています。

求められたのがあくまで「査定」だけなので、それをもって「商品を売りたいという意思表示」とはみなされないためです。

再勧誘の禁止

特定商取引法では、再勧誘を禁止する内容が明記されています。

再勧誘とは、「消費者が訪問購入に関する契約を行わないと意思表示をしたにもかかわらず、その場で勧誘を続けたり、後日改めて勧誘に訪れる」という行為をいいます。

つまり、再勧誘の禁止とは、「契約をしないという意思を示した相手に対して、勧誘を続けたり、日を改めて勧誘を行ってはならない」ということです。

勧誘行為規制

訪問購入をする際にしてはいけないとされる勧誘方法が3つあります。

  • 事実と異なる内容を伝える「不実の告知」
  • 不利な条件や購入の意思を左右する重要事項を意図的に伝えない「故意の事実・重要事項の不告知」
  • 相手に不安感や恐怖心を与える言動によって、相手に不本意な取引を迫る「威迫行為」

契約時や契約解除などに際して、このような行為を行うことは法律違反となります。

訪問購入のクーリング・オフについて

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クーリング・オフと聞くと、「購入した商品を返品すること」というイメージを持っていることでしょう。

しかし、クーリング・オフは本来「契約をなかったことにする」という意味なので、訪問購入による契約でもクーリング・オフを行うことが可能です。

訪問購入の場合、契約書面を受け取った日を含めた8日間をクーリング・オフの期間としています。

当然、クーリング・オフを行なった場合は、それぞれ受け取った物品、代金を相手に返還する必要があります。その際、契約解除による賠償金などは発生しません。

物品の引渡しの拒絶に関する告知

例えば、事業者が購入した物品を第三者に販売した場合、売主がクーリング・オフを申し出た時に物品を返品できない状況になることが想定されます。

そのようなトラブルを防ぐために、売主にはクーリング・オフ期間中に第三者に物品を引き渡すことを拒絶する権利(=引渡拒絶権)が認められています。

そこで、特定商取引法では事業者に対し、訪問購入で物品を購入する際に引渡拒絶権などの「物品の引渡しの拒絶に関する告知」を行うことを義務付けています。

第三者への物品の引渡しをする場合に必要となる相手方への通知

クーリング・オフ期間中に第三者に物品の引渡しを行う場合、売主に対して通知をすることが義務付けられています。

通知に記載が必要な事項は以下の通りです。

  1. 第三者の氏名(名称)、住所、電話番号、代表者氏名(法人の場合)
  2. 物品を第三者に引渡した年月日
  3. 物品の種類
  4. 物品名
  5. 物品の特徴
  6. 物品、付属品に商標、製造者名、販売者名、型式の記載がある場合、その商標、製造者名、販売者名、型式
  7. その他、第三者への物品の引渡しの状況を知るために売主にとって参考となるべき事項

なお、売主はこの通知を受け取っても期間内であれば、クーリング・オフを請求することは可能です。

事業者が物品を引渡した際の第三者への通知

事業者が訪問購入取引で購入した物品をクーリング・オフ期間中に第三者に引き渡す場合、売主への通知に加えて、第三者にも通知が必要となります。

  1. 第三者に通知する必要事項は以下の通りです。
  2. 第三者に引渡した物品が訪問購入取引の相手から引渡しを受けた物品であること
  3. 相手方(売主)がクーリング・オフを行うことができること
  4. 相手方(売主)がクーリング・オフできる期間に関する事項
  5. 事業者が相手方(売主)に対して書面を交付した年月日
  6. 事業者氏名(名称)、住所、電話番号、代表者氏名(法人の場合)
  7. 事業者が物品を第三者に引き渡す年月日
  8. 物品の種類
  9. 物品名
  10. 物品の特徴
  11. 物品、付属品に商標、製造者名、販売者名、型式の記載がある場合、その商標、製造者名、販売者名、型式

訪問購入の契約解除に関する賠償金について

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訪問購入では、契約書に「解約をする場合、買取金額の5倍の賠償金をいただきます」という内容を記載し、実質的に契約解除を妨害するといったやり方が問題視されていました。

そこで、特定商取引法では「賠償金の制限」を設けています。

  • 事業者から代金が支払われている場合、その代金に相当する額
  • 事業者から代金が支払われていない場合、契約の締結や履行に通常要する費用の額
  • 上記に加えて、年6%の遅延損害金

事業者が、これらの額を超えて賠償金を請求することを禁止しています。

訪問購入を行う際に知っておくべき特定商取引法のまとめ

訪問購入 特商法 サムネイル

最後に「訪問購入を行う際に知っておくべき特定商取引法のポイント」をまとめます。

  • 相手からの要請を受けずに相手の自宅に押しかける「不招請勧誘」は禁止されている。
  • 契約の際は、必ず必要事項を記載した書面を交付する必要がある。
  • 訪問購入で引渡しを受けた物品を第三者に引き渡す場合、売主と第三者の両方に定められた内容を含む通知を行わなければならない。

訪問購入は他の特定商取引とは違い、事業者が買い手、消費者が売り手という少し特殊な取引です。

そのため、他の取引にはない独自の規制がいくつかある点は知っておく必要があるでしょう。

特に「不招請勧誘の禁止」や「クーリング・オフ期間中に物品を第三者に引き渡す際の通知」などは、訪問購入独特の規制です。

事業者側が買い手とはいえ、特定商取引法は法的に弱い立場にある消費者(売主)を守るための法律です。よって、事業者側がしっかりと訪問購入をする際の特定商取引法のルールを把握し、健全な事業を行う必要があります。

特定商取引法の全体像や、訪問購入以外の営業手法に関する特定商取引法のポイントについては、「事業者、営業マン必見!5分で分かる「特定商取引に関する法律」」の記事をご覧ください。

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