モニター、内職商法のための日本一わかりやすい特定商取引法【業務提供誘引販売取引編】

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この記事では、特定商取引法の規制対象となっている「業務提供誘引販売取引」について、わかりやすく解説しています。

とは言っても、業務提供誘引販売取引ってなんぞや!って思いますよね。簡単にいうと、モニター商法や内職商法を行う際の契約のことを言います。

名前は難しそうですが、特定商取引法の内容は意外と簡単に理解できるものばかりなので、身構えずに読んでみてください。



業務提供誘引販売取引とは

内職 自宅 仕事

業務提供誘引販売取引とは、「商品やサービスを利用することで収入が得られる」といった誘い文句によって消費者を誘引し、仕事に必要だからと商品やサービスを購入させる取引」のことを言います。

かなり難しい表現ですが、イメージとして「内職商法」や「モニター商法」を思い浮かべると、わかりやすいのではないでしょうか?

具体的には以下の条件を満たすものを「業務提供誘引販売取引」と定義しています。

  • 物品の販売、サービスを提供(またはあっせん)をする事業であること。
  • 業務提供利益が得られると相手を誘引するものであること。
  • 消費者と特定負担を伴う取引をすること。

※特定負担とは、業務提供誘引販売取引を行うにあたって消費者が支払う金銭のこと。

原則として、どのような名目であっても、消費者が負担する金銭的な負担を総称して特定負担という。

特定商取引法が義務付けている業務提供誘引販売取引時のルール

法律 ハンマー

業務提供誘引販売取引を行う場合、事業者は特定商取引法によって定められた以下の規定に従う必要があります。

氏名等の明示義務

特定商取引法では、業務提供誘引販売取引を行う場合、事業者は勧誘を行う前に消費者に対して、以下の内容を伝えることを義務付けています。

  • 業務提供誘引販売業を行う者の氏名(名称)
  • 業務提供誘引販売取引の勧誘を行う目的である旨
  • 勧誘に関する商品、サービスの種類

つまり、「いい話があるから少し話ませんか?」といった勧誘目的であることを隠して行う「ブラインド勧誘」は違法なので、絶対にやらないようにしましょう。

書面交付義務

業務提供誘引販売取引を契約するにあたって、事業者は勧誘時や契約前・契約時にそれぞれ「概要書面」「契約書面」という書面を交付することが義務付けられています。

各書面はそれぞれ、8ポイント以上の文字で記載すること、書面をよく読むべき旨やクーリング・オフに関する事項など重要な内容について、赤枠の中に赤文字で記載することが必要となります。

また、「概要書面」「契約書面」に記載が必要な内容は以下の通りです。

概要書面の必須記載事項

業務提供誘引販売取引業を行う者の氏名(名称)、住所、電話番号、代表者氏名(法人の場合)

  1. 商品の種類、性能、品質に関する重要な事項
  2. 商品名
  3. 商品を利用する業務の提供についての条件に関する重要な事項
  4. 特定負担の内容
  5. 契約の解除や取り消しに関する事項
  6. 割賦販売法に基づく抗弁権の接続に関する事項※1

※1、割賦販売法に基づく抗弁権の接続とは、クレジット会社など第三者を挟んだ契約を行った場合でも、消費者と事業者との間でトラブルがあり、契約が正当に履行されない場合、消費者はその内容(抗弁事由)を伝えることで、クレジット会社からの請求を拒否できる権利のこと。

契約書面の必須記載事項

  1. 商品の種類、性質、品質に関する事項
  2. 商品を利用する業務の提供についての条件に関する重要な事項
  3. 特定負担の内容
  4. 契約の解除や取り消しに関する事項
  5. 業務提供誘引販売取引業を行う者の氏名(名称)、住所、電話番号、代表者氏名(法人の場合)
  6. 契約の締結を担当した者の氏名
  7. 契約の年月日
  8. 商品名、商品の商標または製造者名
  9. 特定負担以外の義務がある場合、その内容
  10. 割賦販売法に基づく抗弁権の接続に関する事項

広告の表示

特定商取引では、業務提供誘引販売取引に関する広告を行う場合に、以下の事項を表示することを義務付けています。

  1. 商品・サービスの種類
  2. 取引に伴う特定負担の内容
  3. 業務の提供条件
  4. 業務提供誘引販売取引業を行う者の氏名(名称)、住所、電話番号、代表者氏名(法人の場合)
  5. 法人がインターネット上で業務提供誘引販売取引に関する広告を出す場合、その者の代表者または業務責任者の氏名
  6. 商品名
  7. 電子メールによる広告を送る場合、業務提供誘引販売取引業を行う者のメールアドレス

また、広告では後述するような誇大広告についての規制事項などもあるので、合わせて覚えておく必要があります。

特定商取引法で禁止されている業務提供誘引販売取引時の禁止、規制事項

禁止 逮捕 警察

特定商取引法では、業務提供誘引販売取引を行う際に、事業者がやってはいけないことについても規定が設けられています。

これらの禁止事項に違反した勧誘や契約は、業務停止命令その他の処罰の対象となる場合があるので、気をつける必要があります。

誇大広告等の禁止

業務提供誘引販売取引を行う際に、広告に記載しなければならない内容があることは前述しました。一方で、消費者に誤解を与えかねないなどの理由から、「広告に掲載してはいけない内容」も存在します。

具体的には、「著しく事実に相違する表示」や「実際のものよりも著しく優良であり、もしくは有利であると人を誤認させるような表示」のことを誇大広告と言います。

例えば、「必ず儲かる」「誰でも仕事ができる」などと謳う広告を出すことは、誇大広告にあたるとして禁止されています。

勧誘行為規制

業務提供誘引販売取引では、勧誘を行う際に一定の行為規制が設けられています。

勧誘時や契約時、契約後に、以下のような行為を用いることは禁止です。

  • 商品の品質や性能に関する内容や、その他契約に関する重要な事項を告げなかったり、事実と違う内容を告げる行為(=事実不告知・不実告知)
  • 消費者を脅迫して困惑させる行為や、強制的に契約を結ばせる(=威迫行為)
  • 勧誘目的であることを伏せて消費者に接触し、公衆の出入りする以外の場所で、業務提供誘引販売取引の勧誘を行う行為(=勧誘の目的を告げない誘引)

未承諾者に対する広告メールの提供の禁止

業務提供誘引販売取引に関する広告メールを送る場合は、必ず事前に相手方から「広告メールの受け取りの承諾」を受ける必要があります。(=オプトイン規制)

広告メールの取り扱いに関しては、「メルマガ初心者のための「特定電子メール法」まとめ」をご覧ください。

ただし、以下のような業務提供誘引販売取引の広告に当たらないとされるメールを送信する場合は例外となります。

  • 契約の成立や注文確認など、契約の履行上必要とされる業務連絡に関するメール
  • 無料メルマガスタンドなどを利用するにあたって、任意では解除できない広告を含むメールを送る場合

業務提供誘引販売取引のクーリング・オフについて

ハート 鍵 セキュリティ

業務提供誘引販売取引では、契約書面を受け取った日から20日間のクーリング・オフ期間が定められています。

業務提供誘引販売取引の性質上、実際に勧誘を受けた際の説明通りの報酬が得られるのかなどが判明するまでにある程度の時間が必要となるため、他の取引に比べてやや長いクーリング・オフ期間となっています。

クーリング・オフを申し出る場合、事業者は速やかにこれまでに受け取った代金などを返還する必要があります。また、消費者もその取引で受け取った商品などを業者に返還しなければなりません。

当然、クーリング・オフによる解約の場合、事業者は消費者に対して、賠償金や違約金を請求することはできません。

業務提供誘引販売取引契約を解除した際の損賠賠償について

罪 賠償金 違反

では、業務提供誘引販売取引の契約を結んで、クーリング・オフ期間をすぎてから解約を希望する場合、どのような手続きを踏むことになるのでしょうか?

結論から言うと、法律によって定められた賠償額を支払えば、契約を解除することは可能です。

ちなみに、この定められた賠償額以上の金銭の請求は認められていないため、たとえ契約書に「途中で契約を解除する場合、100万円の違約金を支払っていただきます。」と言った内容の記載があっても、それは無効です。

法律によって定められている賠償額の上限は以下の通りです。

  1. 商品が返還された場合、通常の使用量の額
  2. 商品が返還されない場合、その商品の販売価格に相当する額
  3. サービスを提供した後である場合、提供したサービスの対価に相当する額
  4. 商品をまだ渡していない・サービスを提供する前の場合、契約の締結や履行に通常要する費用の額
  5. 上記に加えて、年6%の遅延損害金

これらの額を超えて、事業者が消費者に賠償金や違約金を請求することは法律違反となります。

業務提供誘引販売取引を行う際に知っておくべき特定商取引法のまとめ

業務提供誘引販売取引 特商法 サムネイル

話がややこしくなってきたので、最後に「業務提供誘引販売取引を行う際に知っておくべき特定商取引法のポイント」を整理してみましょう。

  • 業務提供誘引販売取引とは、利益が得られることを誘い文句に、商品やサービスの販売を行う取引のことをいう。
  • 業務提供誘引販売取引の勧誘を行う場合、事業者は「勧誘前に氏名等を明示する義務」、「契約前、契約時にそれぞれ、概要書面、契約書面を交付する義務」を負う。
  • 業務提供誘引販売取引のクーリング・オフは20日間。また、中途解約の際に請求できる賠償額は、法律によって上限が定められている。

クーリング・オフの期間や中途解約の際の賠償額の規定などを除けば、基本的にはその他の特定商取引とそこまで大きなルールの違いはありません。

事業者としては、収入が得られるサービスを消費者に提供することよりも、それに関連して購入につながる商品の販売が主な目的である場合もあるかと思います。

しかし、消費者としてはその商品の購入ではなく、それによって得られる収入こそが主な目的となります。

事業者と消費者の目的の不一致が起こりやすい業務提供誘引販売取引の特性ゆえに、些細なトラブルに発展するケースも少なくありません。

お互い無駄なトラブルを避けるためにも、特定商取引法を遵守することには大きな意義があると言えるでしょう。

特定商取引法の全体像や、業務提供誘引販売取引以外の営業手法に関する特定商取引法のポイントについては、「事業者、営業マン必見!5分で分かる「特定商取引に関する法律」」の記事をご覧ください。

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