「リモートワークには、助成金が出るって聞いたけど、どう受け取るんだろう…」「助成金って手続きとか審査とか面倒臭そう…」などと、頭を抱えてはいませんか?
リモートワークを導入する会社が増え、近年助成金を設ける自治体が増えてきました。しかし、申請方法や手続きを面倒に感じ、結局受け取らずに放置してしまう方も多いのではないでしょうか。
この記事では、助成金に関する詳細と全国対象で設けられている助成金と東京都で設けられている助成金を計3つ、ご紹介します。ぜひ最後までご覧ください。
(アイキャッチ画像出典:https://www.pexels.com/photo/person-counting-money-with-smartphones-in-front-on-desk-210990/)
リモートワーク(remote-work)とは

リモートワークとは、仕事場所を会社に捉われず、自宅やカフェ、コワーキングスペースなど、様々な場所で遠隔で仕事をする勤務形態のことを指します。
- リモート(remote)…遠隔で
- ワーク(work)…働く
リモートワークを導入することには、交通費や通勤・退勤時間の削減や業務の効率化などのメリットがあります。
しかし、リモートで仕事をする環境を整えるには、仕組みやセキュリティなどの見直しに時間とコストがかかってしまうでしょう。
国では、そのような損失を軽減すべく、リモートワークの導入を検討している企業やリモートワークを導入している企業を対象に助成金や補助金を設けています。
リモートワークで働く人が対象の助成金と補助金との違い

助成金と補助金はどちらも返済する必要が無いお金です。二つの制度は似た言葉で、同じ意味で捉えられやすいですが、異なった意味を持っています。
助成金…受給するための要件が決まっており、それを満たしていれば支給される。
補助金…支給する側の予算が決まっているため、審査や期限が設けられている。審査に通過すれば支給される。
このように補助金は助成金よりも受給できる可能性が低いのに対し、助成金は受給の条件をしっかり確認すれば受給することが出来ます。
リモートワークで働く企業に助成金を設ける目的

リモートワークを導入している企業を対象にした助成金はありますが、リモートワークを導入していない企業にも助成金は存在します。
つまり、リモートワークを導入している企業を特別扱いしているわけではなく、助成金は、雇用維持や人材育成、新規雇用などの、企業が経済に対しての役割を助けることを目的としています。
また、リモートワークをしている社員は、育児や介護を行いながら仕事が出来たり、ストレスを抱えにくかったりすることが可能です。
このように、私生活にも影響を与えるリモートワークの導入を促進したいという意味合いで、助成金を設けていると考えられます。
リモートワークで働く企業が対象の助成金の申請方法・注意点

助成金を受け取るためには、助成を行っている国や自治体などに申請をする必要があります。助成金の受給までの流れは、以下の4ステップです。
- 実施計画の申請
- 計画の実施
- 支給申請
- 受給
上記の『助成金の受給までの4ステップ』で注意しなけれなならないことを以下にまとめました。一つずつ解説していきます。
- 必要書類の不足がないこと
- 申請スケジュールを守ること
- 過去に不正受給や保険料の滞納がないこと
必要書類の不足がないこと
必要書類に不備があったり、不足していたりすると、助成金を設けている国や自治体によっては申請期間後に通達がくる場合があり、結果的に受給することが出来なくなります。
必要書類の確認に関しては、インターネットで確認する他に電話や窓口で行うことができます。
申請スケジュールを守ること
助成金の申請期間や申請時に提出する計画などのスケジュールを守らない場合、助成金を受給することが出来ません。
期限や計画には注意を配り、余裕を持って準備するようにしましょう。
過去に不正受給や保険料の滞納がないこと
過去3年の間に助成金の不正受給をしていないことや、2年間以上労働保険の滞納をしていないことが受給の条件になります。
今回、助成金の申請をしない場合でも、今後の助成金が必要な時に受給することが出来なくなるので、不正受給と保険料の滞納をしないよう注意しましょう。
リモートワークで働く企業を対象にした助成金

リモートワークで働く企業に対して、国や自治体は助成金を設けています。
国からは2種類、東京都からも2種類の助成金が設けられています。東京都が設けている助成金は東京都に事務所を持つ企業しか、受給することが出来ません。
今回、詳細をご紹介する助成金は以下の3つのです。一つずつ説明していきますね。
- 働き方改革推進支援助成金
- 働き方改革推進支援助成金(新型コロナウイルス感染症対策)
- 【東京都】事業継続緊急対策(テレワーク)助成金
今回は、地方自治体の助成金に関して、東京都の助成金を取り上げますが、あなたの自治体でも助成金を用意している場合がありますので、一度調べてみましょう。
テレワークとは…「tele…離れた所」「work…働く」という2語から出来た造語このこと。リモートワークとほぼ同意語。
働き方改革推進支援助成金

在宅やサテライトオフィスで仕事をすることが出来る、リモートワークやテレワークは、社員や企業の業務時間の改善や、仕事と生活の調和を取りやすくする効果があることが分かっています。
そこで、国はリモートワークやテレワークを導入しやすくすることを目的に『働き方改革推進支援助成金』を設けています。
以下の4項目に分けて働き方改革推進支援助成金についてご紹介していきます。
- 申請期限
- 支給対象となる事業主
- 成果目標の設定
- 支給額
申請期限
交付申請の受付は令和2年12月1日までです。また、この助成金は国の予算額によって制限があるため、申請数によっては、期限が前倒しになるかもしれません。
現在の受付状況の確認は、『テレワーク相談センター』で確認をしてください。
電話:0120-91-6479 (受付時間:平日9:00~17:00)
住所:〒101-0062 東京都千代田区神田駿河台1‐8‐11 東京YWCA会館3階
上記のフリーダイヤルがつながらない場合には、以下の番号でも受け付けます。(5月31日まで)
電話:03-5577-4724、03-5577-4734ただし、通信料は発信者負担になりますので、ご留意いただきますようお願いいたします。
また、メールでもご相談を受け付けています。
sodan@japan-telework.or.jp
支給対象となる事業主
支給対象となる事業主は、次のいずれにも該当している必要があります。
- 労働者災害補償保険の適用事業主であること
- 表1のいずれかに該当する事業主であること
- テレワークを新規で導入する事業主であること
業種 | A.資本または出資額 | B.常時雇用する労働者 |
小売店(飲食店を含む) | 5,000万円以下 | 50人以下 |
サービス業 | 5,000万円以下 | 100人以下 |
卸売業 | 1億円以下 | 100人以下 |
その他業種 | 3億円以下 | 300人以下 |
(表1)(参考:働き方改革推進支援助成金(テレワークコース))
成果目標の設定
働き方改革推進支援助成金を受給するためには、以下の成果目標を達成しなければなりません。
- 評価期間に1回以上、対象労働者全員に、在宅又はサテライトオフィスにおいて就業するテレワークを実施させる。
- 評価期間において、対象労働者が在宅又はサテライトオフィスにおいてテレワークを実施した回数の週間平均を、1回以上とする。
支給額
助成金は支給対象となる取組の実施に必要になった経費の一部を目標達成状況に応じて支給します。
以下が支給対象となる経費とその助成額です。より詳しい情報は下の【『働き方改革推進支援助成金』について確認する】をクリックし、厚生労働省の公式ページから確認してください。
対象経費 | 助成額 |
謝金、旅費、借損料、会議費、雑役務費、印刷製本費、 備品費、機械装置等購入費、 委託費
※ 契約形態が、リース契約、ライセンス契約、サービス利用契約等 で「評価期間」を超える契約の場合は、「評価期間」 に係る経費のみが対象 |
対象経費の 合計額 × 補助率 (上限額を超える場合は 上限額(※))(※)「1人当たりの上限額」 × 対象労働者数又は「1企業当たりの上限額」のいずれか低い方の額 |
成果目標の達成状況 | 達成 | 未達成 |
補助率 | 3/4 | 1/2 |
1人当たりの上限額 | 40万円 | 20万円 |
1企業当たりの上限額 | 300万円 | 200万円 |
必要書類や具体的な申請方法については、以下の【『働き方改革推進支援助成金』について確認する】から、ダウンロード可能な資料から確認してください。
働き方改革推進支援助成金(新型コロナウイルス感染症対策)

『働き方改革推進支援助成金(新型コロナウイルス感染症対策)』は、新型コロナウイルスの影響で売上が減少し、新たにリモートワーク(テレワーク)を導入する企業を対象にした助成金です。
以下の5項目に分けて働き方改革推進支援助成金(新型コロナウイルス感染症対策)についてご紹介していきます。
- 申請期限
- 支給対象となる事業主
- 助成対象の取組
- 支給額
- 各種特例コースの詳細
申請期限
交付申請の受付は令和2年5月29日まで、支給申請の受付は令和2年7月15日までです。また、この助成金は国の予算額によって制限があるため、申請数によっては、期限が前倒しになるかもしれません。
現在の受付状況の確認は、『テレワーク相談センター』で確認をしてください。
電話:0120-91-6479 (受付時間:平日9:00~17:00)
住所:〒101-0062 東京都千代田区神田駿河台1‐8‐11 東京YWCA会館3階
上記のフリーダイヤルがつながらない場合には、以下の番号でも受け付けます。(5月31日まで)
電話:03-5577-4724、03-5577-4734ただし、通信料は発信者負担になりますので、ご留意いただきますようお願いいたします。
また、メールでもご相談を受け付けています。
sodan@japan-telework.or.jp
支給対象となる事業主
支給対象になる事業主は、新型コロナウイルス感染症対策としてテレワークを新規で導入する、又は試行的に導入している中小企業事業主です。
また以下に該当する、労働者災害補償保険の適用中小企業事業主でなければ、支給対象にはなりません。一度しっかり確認しておきましょう。
業種 | A.資本または出資額 | B.常時雇用する労働者 |
小売店(飲食店を含む) | 5,000万円以下 | 50人以下 |
サービス業 | 5,000万円以下 | 100人以下 |
卸売業 | 1億円以下 | 100人以下 |
その他業種 | 3億円以下 | 300人以下 |
(参考:働き方改革推進支援助成金(新型コロナウイルス感染症対策))
助成対象の取組
助成対象の事業主であっても、助成金は取組に対して助成が行われるため、以下の取組をしていない場合、助成金を受給することが出来ません。
- テレワーク用通信機器の導入・運用
- 就業規則・労使協定等の作成・変更
- 労務管理担当者に対する研修
- 労働者に対する研修、周知・啓発
- 外部専門家(社会保険労務士など)によるコンサルティング 等
支給額
助成金は、支給対象となる取組の実施に必要になった経費の一部を支給します。補助率と上限額は以下の通りです。
補助率 | 1企業あたりの上限額 | |
割合・金額 | 1/2 | 100万円 |
(参考:働き方改革推進支援助成金(新型コロナウイルス感染症対策))
各種特例コースの詳細
新型コロナウイルスの影響に伴って、特例コースを設けています。
対象者・助成対象の取組・事業実施期間などは以下の表の通りです。
テレワークの特例コース | 職場意識改善の特例コース | |
対象者 | 新型コロナウイルス感染症対策としてテレワークを新規で導入する中小企業事業主 | 新型コロナウイルス感染症対策として休暇の取得促 進に向けた環境整備に取り組む中小企業事業主 |
助成対象の取組 | ・テレワーク用通信機器の導入・運用 ・就業規則・労使協定等の作成・変更 等 | ・就業規則等の作成・変更 ・労務管理用機器等の購入・更新 等 |
事業実施期間 | 事業実施期間中にテレワークを実施した労働者が 1人以上いること | 事業実施期間中に新型コロナウイルスの対応として 労働者が利用できる特別休暇の規定を整備すること |
用件 | 令和2年2月17日~令和2年5月31日 | 令和2年2月17日~令和2年5月31日 |
支給金 | 補助率:1/2 1企業当たりの上限額:100万円 |
補助率:3/4 ※事業規模30名以下かつ労働能率の増進に資する設備・機器 等の経費が30万円を超える場合は、4/5を助成 上限額:50万円 |
(参考:時間外労働等改善助成金(テレワークコース、職場意識改善コース)の特例について)
必要書類や具体的な申請方法については、以下の【『働き方改革推進支援助成金(新型コロナウイルス感染症対策)』について確認する】から、ダウンロード可能な資料を確認してください。
【東京都】事業継続緊急対策(テレワーク)助成金

東京都が実施している『事業継続緊急対策(テレワーク)助成金』は、東京都を拠点とする企業に向けて、事業の継続を助成するために、設けられました。
以下の5項目に分けて事業継続緊急対策(テレワーク)助成金についてご紹介していきます。
- 申請受付期間
- 支給対象となる事業主
- 助成対象の取組
- 支給額
申請受付期間
事業継続緊急対策(テレワーク)助成金の申請受付期間は、令和2年3月6日~5月12日の約2ヶ月です。
申請受付は書類の郵送のみになっており、締切日必着でなければ、申請として受け付けて貰えないので注意をしましょう。
支給対象となる事業主
支給対象となる事業主は、以下の項目に当てはまっている必要があります。
常時雇用する労働者が2名以上999名以下で、都内に本社または事業所を置く中堅・中小企業等
※東京都が実施する「2020TDM推進プロジェクト」への参加が要件です。(その他要件あり)
助成対象の取組
助成対象になる取組は、以下の6つです。以下各取組にかかる費用の例を記載しておきましたので、ご確認ください。
- 機器等の購入費
- 機器の設置・設定費
- 保守委託等の業務委託料
- 導入機器等の導入時運用サポート費
- 機器のリース料
- クラウドサービス等ツール利用料
- パソコン・タブレット・VPNルーター
- VPNルーター等、機器の設置・設定作業費
- 機器の保守費用
- 導入機器等の操作説明マニュアル作成費
- パソコン等リース料
- コミュニケーションツール使用料
支給額
助成金は、支給対象となる取組の実施に必要になった経費の一部を支給します。補助率と上限額は以下の通りです。
補助率 | 1企業あたりの上限額 | |
割合・金額 | 10/10 | 250万円 |
(参考:事業継続緊急対策(テレワーク)助成金 開始(第70報)|東京都)
【東京都】ワークスタイル変革コンサルティングについて

東京都では、『ワークスタイル変革コンサルティング』という、リモートワーク(テレワーク)の働き方について、無料でコンサルティングを行っています。
ワークスタイル変革コンサルティングでは、リモートワークを導入する方法や注意点などをはじめ、試行の検証から改善策の提案まで、専任のコンサルタントから学ぶことが可能です。
また、コンサルティング内で、各種助成金の紹介もしてくれるので、あなたの会社に合った助成金を紹介し、受給に必要な手続きなどの相談もすることが出来ます。
ワークスタイル変革コンサルティングの詳細を以下にまとめました。
- 対象・・・・・・・・都内で事業を営んでいること・常時雇用する労働者が999名以下の企業であること
- 方法・・・・・・・・都内事業所に最大5回訪問(約2時間/回)
- コンサルタント・・・テレワーク導入・定着の専門コンサルタント
- 費用・・・・・・・・無料
- 事務所の住所・・・・ 東京都港区芝2丁目28-8 芝二丁目ビル4階(下部に地図記載あり)
まとめ リモートワーク対象の助成金について

この記事では、助成金と補助金の違いや助成金を設ける目的、受給する際の方法と注意点、3種の助成金、そして最後に「ワークスタイル変革コンサルティング」についてご紹介しました。
助成金は申請時に必要な書類や申請受付期限などの決まり事を正確に守らなければ、受給することが出来ません。そのためには、時間に余裕を持ち、しっかり準備することが重要です。
今回、ご紹介した3つの助成金の他にも、各地方で設けている助成金などもありますので、自身の会社の自治体で助成金が設けられているのかを確認するようにしましょう。
助成金を受給する場合には、ぜひこの記事を参考にして、準備を進めてみてください。